人手不足でもバイト増やせない飲食店の実情 困窮学生10万円給付は「焼け石に水」

    また帝国データバンクの杉原氏は「飲食業界の人手不足は時給の低さも影響している可能性がある」とみる。リクルートによると、10月の三大都市圏における飲食店のホールスタッフのアルバイト・パートの平均時給は1062円。9月より16円アップしたものの、インターネット通販の人気などで需要が増えている物流作業(1120円)などと比べて低い水準にある。

    経済全体では仕事不足

    一方、飲食業界では人手不足が指摘されているが、日本経済全体でみれば「仕事不足」であることも明らかだ。

    厚生労働省が11月30日に発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍。求職者の数を上回る求人がある状況とはいえ、新型コロナ禍直前は約1.6倍だったことを考えれば回復は道半ばといえる。後藤茂之厚生労働相は30日の記者会見で「求職者が引き続き高水準にあり、(雇用情勢には)全体として厳しさがみられる」と述べた。

    仕事不足は「困窮大学生問題」の背景でもある。文部科学省の調べでは、今年4~8月に大学を休学した5万908人のうち、理由に「経済的困窮」を挙げた割合は16%にのぼった。同じ期間で中退した1万1862人の中でも、経済的困窮による退学者は2割強となっている。

    政府は21年度補正予算案で、低所得世帯の学生やアルバイト収入が減少した学生らに10万円を給付するため、675億円を計上した。ただ、大学の学費負担の大きさを考えれば、10万円程度では焼け石に水だ。政府には企業が安心して雇用を増やせるような環境整備への取り組みが求められる。


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