中国での大会、全面中止 テニスのWTA 彭帥さん安全に「深刻な疑念」

    【ワシントン=塩原永久】女子テニス協会(WTA)のサイモン最高経営責任者(CEO)は1日、中国と香港での大会をすべて中止すると発表した。動静が不明となった中国の女子選手、彭帥(ほう・すい)さんの自由と安全の確保に「深刻な疑念」があると指摘。中国を開催地とした大会で選手らに「リスク」が及ぶとし、大会を全面中止する異例の決断を下した。

    「チャイナ・オープン」の「微博(ウェイボ)」公式アカウントに11月21日掲載された、北京で行われたテニスイベントに参加する彭帥さん(中央)の写真(共同)
    「チャイナ・オープン」の「微博(ウェイボ)」公式アカウントに11月21日掲載された、北京で行われたテニスイベントに参加する彭帥さん(中央)の写真(共同)

    米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によるとWTAは2022年に中国で9大会を予定。大会を中止すれば多額の収入を失うことになるという。

    サイモン氏は声明で、彭さんが「自由と安全を確保し、検閲や強要、脅迫にさらされていないかどうか深刻な疑念を抱いている」と述べた。

    彭さんは11月初め、中国の張高麗(ちょう・こうれい)元副首相に性的関係を強要されたと告白後、連絡が途絶えた。国際オリンピック委員会(IOC)は11月下旬、バッハ会長が彭さんとテレビ電話を通じて会話し、無事を確認したと発表していた。

    サイモン氏は、彭さんが中国当局から検閲や干渉を受けず、自由な立場で話せることが不可欠との認識を示した。その上で「(中国側が)残念ながらこうした問題に信頼できる方法で対処してこなかった」と強調し、中国関係者の対応への不満をにじませた。

    また、中国と香港での大会は、「選手とスタッフが直面する可能性があるリスクについて大いに懸念している」とした。

    大会中止の決定はWTA取締役の全員が支持したという。WTAは女子テニスツアーの運営団体で、米フロリダ州に本部がある。


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