目指すは“攻守”そろった投資家
これで約20万円節税できたことになります。お分かりいただけますでしょうか。簡単に言えば、「得」と「損」をできるだけ均衡させることで、節税が可能になるということです。
ここで、より伝わりやすいよう、図解しましょう。
いかがでしょう。ご理解いただけましたでしょうか。仕組みをご理解いただけたとしても、含み損のある銘柄を売却して損失を確定することに抵抗があるかもしれません。が、「損出し」は「損切り」とは違います。いったん売却はしますが、翌営業日以降に再び買い戻せば済む話であって、1日限りの「形だけ」の売却です。
ただし、「損出し」のために売却するには、注意事項が5点あります。
- 損出しで、売却した銘柄を買い戻すのは、必ず翌営業日以降にして下さい。当日に買い戻しすると、「損出し」になりません。
- 配当金の権利付最終日に気を付けて下さい。損出しのために売却したことで、配当金が得られなくならないようご注意下さい。
- 損出しのタイミングは年末では間に合いません。大納会の2営業日前までに行なってください。それを過ぎると、翌年の精算となり、当年の損出しが出来ません。米国株など外国株の場合は、時差や受渡日の関連が難しいため、早めに動かれて下さい。
- 損出ししてから再び買い戻すということは、2度の売買手数料が発生します。手数料が比較的高くなる外国株では、手数料に気を付けて下さい。
- 損出しにより節税が可能となるのは、同じ証券会社の口座のみです。例えば、A証券会社でX社の株を利益確定して、B証券会社でY社の株を損失確定しても、自動的に相殺することはできません。この場合は、確定申告が必要になります。
証券税制には難しい部分が多くありますが、勉強することで節税が可能となるケースが少なからずあります。投資は攻め、節税は守り。攻守そろった投資家を目指したいものですね。
本日は、「損出し」について解説しました。
最後に、この記事では節税についてご紹介しましたが、あらゆる意思決定、最終判断はご自身の責任において行われますようお願いいたします。ご自身の資産運用などにおいて損害が発生した場合、筆者は一切責任を負いません。ご了承ください。