シュリンクする市場に動じない存在感
そしてさらに、内外観と使い勝手の進化だけではなく、走りの点でも大幅な進化を遂げたという。今回は静的インプレッションに止まっており、実際にステアリングを握って走りを評価する機会は得られなかったが、資料を見る限り、操縦安定性は高そうである。
搭載するエンジンは2タイプ。直列4気筒2リッターガソリンと、直列4気筒1.8リッターハイブリッドだ。特にハイブリッドの進化は明らかで、モーターパワーが強化された。今回新たにハイブリッドには4輪駆動システム「E-Four」が加わっており、後輪の駆動力を高めることで、オンロードでの旋回性能が整ったという。
感心するのは、動力性能と経済性という相反関係にある要件を共に高めている点だ。加速性能は0-100km/h。タイムが1秒ほど短縮しているというから頼もしい。それでいて、WLTC燃料消費率は23.4lm/lとクラストップの数字を叩き出している。
開発にあたっては、ハイブリッド専用の低粘度オイルを開発するなど、いわば初期技術から見直したという。ハイブリッド、バッテリー、コントローラー、リアトラクション系など、すべてが高効率で小型軽量化されている。使い勝手の良さが注目されそうだが、実は走りの性能を大幅に進化させているのである。
コンパクトキャブワゴンの市場は、全体的にはシュリンクする傾向にある。かつては350万台だった販売が250万台強に低下している。だが、ノアとヴォクシーの販売は30万台付近で安定している。モデル末期でさえ販売に下降傾向はみられない。ということはつまり、新型の登場で飛躍的に伸びる可能性がある。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。