経団連が春闘方針、賃上げで積極対応、政権と歩調

    経団連は18日、令和4年春闘(春季労使交渉)における経営側指針「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」を公表した。新型コロナウイルス禍で悪化した経済状況の改善や、「成長と分配の好循環」を掲げる岸田文雄政権の政策を含む「社会的な期待」の高まりを受け、賃金引き上げ(賃上げ)への積極対応を企業に求めた。一方、K字型の景気回復で業種や企業ごとの業績格差がさらに広がる中、横並びや一律の賃上げは否定した。

    経団連が入る東京・大手町の経団連会館
    経団連が入る東京・大手町の経団連会館

    経労委報告では収益が高水準で推移・増大した企業について、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を含めた「『新しい資本主義』の起動にふさわしい賃金引き上げが望まれる」と明記。ベアを「選択肢」としていた昨年より一歩踏み込み、岸田政権と歩調を合わせた。

    コロナ禍で経営が依然として苦しい業種や企業については、「事業継続と雇用維持を最優先にしながら、労使で徹底的に議論し、自社の実情にかなった対応を見いだすことが望まれる」と主張。一例として単年度だけでなく「複数年度にわたる方向性を含めた検討」を挙げた。各企業が労使協議を経て賃金を決める「賃金決定の大原則」にのっとるべきという、従来の主張も繰り返した。

    一方、働き方改革を「深化」させる必要性を強調。男性の育児休暇取得を含む育児と仕事の両立や、女性活躍の推進に言及した。コロナ禍で必要性がさらに高まったテレワークやデジタル化の推進も訴えた。

    このほか、連合とは「基本的な考えで共通している部分が多い」とし、人への投資の重要性でも「認識を共有している」と説明。「未来志向」の労使関係を提唱した。

    経団連の大橋徹二副会長は18日の記者会見で岸田首相の賃上げへの期待表明について、「影響はもちろんあるが、もともと大事だと思っていた」と述べた。

    令和4年春闘は、経団連と連合がともに参加する25日の労使フォーラムで事実上スタートし、2月中旬から自動車、電機などの主要企業での交渉が始まる。(井田通人)


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