公共事業としてはもの足りない額でも、高校生の心はときめいた。「500万円の使い道を考えることはなかなかできない経験」(小林稜矢さん)、「自分でも町に貢献できることがないかと考えていたところだった」(長谷川千洸(ちひろ)さん)。
昨年8月から11月まで4回開いたワークショップの末に絞り込んだのは「町の中心部にある公園に中高生でも遊べるバスケットゴールを設置する」「幅員が狭く見通しの悪い旧街道のカーブに車速を抑制するドットラインを引く」の2案。
小園町長は、前者は自宅と学校以外のサードプレース(第3の居場所)を作るという視点、後者は全世代の交通安全という視点があるとし「いずれも町として真剣に検討し、今年度内に方向性を出したい。提案通りにできるかは分からないが精神を生かしたい」と話す。
脱「返礼品」の契機に
小園町長は「返礼品によるふるさと納税は長続きしない。返礼品を求めるのでなく、自分の思いを実現するようお金を使う『プチ前沢さん』が出てきてくれるといいなと思っている」と、ふるさと納税制度に対する思いも深めている。
高校生の長谷川さんは、ワークショップで「いいところばかりで、課題がなかなか出てこなかった」と、地元を見直した。御代田町は昨年末に発表された第2回の寄付先には選ばれなかったが、小園町長は500万円ほどの使途を考えてもらうワークショップを今後も続けられればとしている。(原田成樹)