実業家の前沢友作氏(46)がふるさと納税で寄付した500万円の使途について、長野県御代田町は町内に住む高校2年生6人に検討を依頼し、このほど公園へのバスケットゴール設置など2提案がまとまった。小園拓志町長(44)は「少なくとも精神は生かす」と具体化を進めるとともに、高校がない同町で高校生が町政に参加する良い機会になったとし、今後も同額規模の実践型ワークショップを続ける考えだ。
500万円の事業
前沢氏は令和2年11月、ツイッターで「今年納付予定のふるさと納税約8億円の寄付先を探しています」「アイデアやご意見をツイートください!(なお返礼品は辞退します)」などとつぶやいた。小園町長は、知人からの連絡で知り応募。当初は一定規模の金額になると思い、児童養護施設に暮らす子供に一般家庭での生活を経験してもらうプログラムの受け入れ家庭への財政支援として応募した。
しかし同年12月、前沢氏は全国約150自治体に500万円を配ることに決めた。小園町長は「500万円は町の事業予算としては真剣に討議する額ではない」と考えた。
高校がない課題
「高校生に預けた方がよりユニークで効果的な事業を提案してもらえるのでは」。同町には高校がなく、子供たちは中学を卒業すると近隣の佐久市や小諸市などに進学し、さらに東京や長野市などの大学に行ってしまう。このことが町の継続・発展にとって課題になっていると小園町長は考えていた。
「移住のプロに聞くと、Uターンのない町にIターンはないそうです。まずは、高校生に町に対する愛着を強めてもらいたかった」
今回依頼したのは、町立御代田中学生のときに「模擬議会」に参加した6人。進学先はばらばらなので、1人ずつ個別に連絡をとったという。