若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある“口コミビジネス”の正念場

    PRESIDENT Online

    ネットでの「飲食店の探し方」が変わりつつある。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「食べログなどのグルメサイトは利用者が多い一方、点数やランキングを疑う声も多い。とくに若者は、Google MapやInstagramを使った検索に移りつつある」という――。

    若者にとってグルメサイトの優先順位は低い

    ネットでの「飲食店の探し方」が変わってきている。

    ある50代男性は「新入社員がGoogle Mapで店を探していた」と驚いていた。

    「先日、部署のみんなで食事に行ったんです。新入社員に店探しをお願いしたら、Google Mapで会社の近くの店を調べて、評判がいいところをさらにグルメサイトで調べていた。『点数が操作されてるって聞いたことがあるし、両方使うと便利なんで』というので驚きました」

    筆者が講義を行う大学の受講生もこう話す。

    「飲食店を選ぶときにはいつもInstagramで検索して、おいしそうなところを選ぶことが多い。それから店名で検索して評判を確認する。Google Mapも見るけど、最初にグルメサイトを見ることはない」

    こうした大学生は、Instagramで「吉祥寺」「梅田」などの駅名、町名などで検索し、出てきたハッシュタグ(「#吉祥寺グルメ」「#梅田カフェ」)で検索している。投稿された写真の中からおいしそうなもの、食べたいものを探すというわけだ。

    なぜ、このような“グルメサイト離れ”が起きているのだろうか。

    独禁法違反で食べログ運営会社が訴えられる

    グルメサイトの点数やランキングは操作されているといううわさは根深い。

    2020年5月、首都圏を中心に焼肉・韓国料理チェーンを運営する「韓流村」が、「食べログ」運営会社であるカカクコムを相手に訴訟を起こした。食べログが評価点を算出する方式「アルゴリズム」を変更した結果、直後からチェーン店の点数評価が軒並み3.50より下になり、1カ月の売上高が2500万円ほど急減。チェーン店を不当差別する独禁法違反行為として、損害賠償とアルゴリズム差し止めなどを求めたのだ。

    食べログの点数・ランキングは、各ユーザーの影響度によって重み付けされた点数や評価をベースとして算出されている。点数は毎月第1火曜日と第3火曜日の月2回更新を行って算定するなど、随時変動する。4.00点以上は全体のトップ500前後、3.50点以上4.00点未満は全体のトップ約3%とされ、直接集客力につながるため、飲食店にとっては死活問題となる。

    今年1月には、この裁判の過程でカカクコム側がアルゴリズムをチェーン側に初めて開示したことが判明し、話題となった。しかし、営業の秘密に当たるとして一般には公開されておらず、アルゴリズムは依然ベールに包まれている。

    その強い影響力を重視し、食べログなど複数のグルメサイトについて実態調査を行ったのが公正取引委員会だ。運営事業者が優越的な地位を利用して参加店舗に対して割引を強要したり、他のグルメサイトとの契約を制限したりしていないか、グルメサイトと飲食店にアンケートと聞き取りを行った。

    2020年3月発表の調査結果では、表示される順位や店舗の評価を決める重要な要素について「飲食店及び消費者に対して、可能な限り明らかにし、透明性を確保すること」を求めている。

    26%が「グルメサイトを信頼していない」と回答

    グルメサイトに対する信頼性の低下は、数字にも表れている。


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