石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は2日の閣僚級会合で、現行の原油増産ペースを3月も維持すると決定した。市場の事前予想通りの結果だったが需給の引き締まり感は根強く、2日のニューヨーク原油先物相場は指標の米国産標準油種(WTI)の3月渡しが一時1バレル=89・72ドルまで上昇し、約7年4カ月ぶりの高値水準が続いた。市場では「原油価格はしばらく高止まりする」との見方が多い。
昨年8月以降取り組んでいる、毎月日量40万バレルずつ減産幅を縮小する増産計画を3月も継続することを確認。関係筋によると、今回の会合は16分で終了した。次回は3月2日に開く。
新型コロナウイルスのオミクロン株が原油需要に与える悪影響は懸念されていたほど深刻ではないとの見方から、原油価格は昨年末以降ほぼ一本調子で上昇。先進主要国の原油や石油製品の在庫が低水準の中、近年は原油の開発投資が低迷し、産油国の追加生産余力が乏しくなってきているという構造的な背景もある。
緊迫するウクライナ情勢など、地政学リスクの高まりも原油価格を押し上げている。ロシアがウクライナに侵攻すれば米欧はロシアに厳しい経済制裁を科す方針で、資源国のロシアがその報復措置として欧州向けの天然ガスの供給を止めたり減らしたりした場合は原油への代替需要が増えるとの観測が広がっている。
日本総合研究所の松田健太郎副主任研究員は「地政学の影響にもよるが、WTIは今年前半、1バレル=80ドル台後半を中心に推移するのではないか」と話した。(森田晶宏)