使い勝手だけじゃない　走りも進化した新型ノア・ヴォクシーの本当の“凄み”

洗練された操縦性と鋭い加速力

ただし、使い勝手だけが新型の魅力ではないのがノア、ヴォクシーの“凄み”である。エポックなのは、ノア、ヴォクシー初となるハイブリッドと4WDシステムが合体されたことだ。「E-Four」と呼ばれるそれは、特に後輪に強い駆動力を伝達することを可能にしたという。これにより、雪道などの滑りやすい路面での発進加速性能が飛躍的に高まったのはもちろんのこと、乾いたアスファルトでも走りを整える。

たとえば高速道路のランプウェイなど、比較的高速で旋回するような場面でも、後輪が駆動力を発揮。フロントタイヤだけに頼って旋回することなく、前後輪がバランス良くコーナリングするのである。ひとことで言えば、すっきりしたハンドリングである。

そもそも振り返って、ハイブリッドシステムが第5世代に進化している。モーターやバッテリーや、あるいはE-Four、ギア周りなど、システムのすべてが小型軽量高効率になっている。

それにより操縦性が洗練されているだけでなく、加速力も鋭い。先代に比較して、停止状態からフル加速して時速100キロに到達するまでにかかる時間を表す「0～100km/h加速」が0.7秒短縮しているというのだ。さらに燃費がいい。いいことずくめなのである。

ミドルサイズのミニバンを牽引（けんいん）するノア、ヴォクシーの優位性は揺るぎない。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。