大阪メトロ終着駅前「謎の空き地」が動き出す

    大阪メトロのターミナル駅前に広がる「謎の空き地」が、約40年の空白を経て再開発に向けて動き出した。大阪府八尾市と大阪市にまたがる約9・2ヘクタールの国有地で、関係者は「大阪最後の一等地」とされるJR大阪駅北側エリアになぞらえ、「第2のうめきたに」と期待を寄せる。ただ、八尾空港にほど近く、建物は航空法による高さ制限を受けるほか、鉄道の終着駅という立地面から「『うめきた』のようにはいかない」と懸念する声もある。

    大阪メトロ八尾南駅の北側に広がる空き地=2月12日、大阪府八尾市(西川博明撮影)
    大阪メトロ八尾南駅の北側に広がる空き地=2月12日、大阪府八尾市(西川博明撮影)

    甲子園球場2.4個分

    大阪市中心部から電車で約30分。大阪メトロ谷町線の終着駅、八尾南駅(大阪府八尾市)の改札口を出ると、すぐ北側に広大な空き地が広がっている。

    子供服ブランド「ミキハウス」を展開する三起商行の本社やマンション、店舗などがあり、人の往来が盛んな南側とは対照的に、北側は乗降客らが時折行き交う程度だ。

    「この土地は約40年間、塩漬けになっていた」

    そう話すのは八尾市の大松桂右(けいすけ)市長。市によると、「謎の空き地」ともささやかれていたこの土地はかつて、八尾空港の駐機場などに利用されていた。一部は大阪市平野区にまたがり、面積は約9・2ヘクタール。甲子園球場に換算すると、約2・4個分の広さがある。


    八尾市は2月9日、国や大阪府、大阪市とともに、この空き地を再開発すると発表した。25日には、有効活用に向け、民間事業者側の再開発意向や土地の市場性などを調べるマーケットサウンディング調査の詳細を公表。今後、八尾市が大阪府・市と連携して都市計画を策定し、国が空き地を売却するスケジュールとしている。

    大阪維新の会に所属する大松市長は、長年の懸案が動き出す理由について「大阪府・市と同じ維新で連携できる」と強調。現在2期工事が進む「うめきた」を引き合いに「八尾に人を呼び込み、都市格が向上するまちづくりを目指す」と意気込んでいる。

    立地面でネックも

    「ようやく動き始めたか」。そう感慨を込めるのは、八尾市の都市計画に関わった経験がある近畿大総合社会学部の久隆浩(ひさ・たかひろ)教授(都市計画)。長年再開発が進まなかった理由について「土地保有が国で、敷地が八尾、大阪両市にまたがっていたので調整が進まなかった」と解説する。

    ただ、再開発事業が動き始めたとはいえ、「鉄道の終着駅。行き止まりだからこそ難しい」と集客面をネックに挙げる。八尾空港に近いため、航空法による高さ制限を受けるとあって、「高層の建築物も建てにくい。民間事業者から見て、再開発に魅力的な土地になるかどうか」と懸念する。

    「維新だからできた」

    八尾市の北側に接する大阪府東大阪市では、基幹道路である大阪中央環状線に沿う形で、大阪モノレール延伸事業が進められている。令和11(2029)年開業を目指し、門真市駅の南に4駅(門真南駅、鴻池新田駅、荒本駅、瓜生堂駅=いずれも仮称)が新設される計画だ。

    「モノレール延伸も、維新だからできたんですよ」

    昨年10月。衆院選の応援演説で東大阪市に駆けつけた日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)はこう語り、維新の実績を有権者らにアピールした。うめきた2期や、誘致を提案した2025(令和7)年大阪・関西万博の開催地である人工島・夢洲(ゆめしま)など、大阪府内で再開発事業を前進させてきた維新。八尾の「謎の空き地」の行く末が注目される。(西川博明)


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