首都圏新都市鉄道広報課は「発車メロディーの鳴動前にドアを閉めて発車してしまった。お客さまの駆け込み乗車を誘発し、乗車しようとしたお客さまや手荷物がドアに挟まれる恐れがあった」とした上で、「日頃からお客さまには駆け込み乗車をしないようにお願いしている。私たちが悪いことをした時はちゃんと発表しなければ、ということで反省を込めて(お詫びを)出した。お客さまの安全を考えて発表した」と説明する。
律義な国民気質の表れ?
謝罪は律義な国民気質の表れともいえなくもないが、鉄道ライターで都市交通史研究家の枝久保達也氏は「鉄道営業法の省令は時刻表に記載した時刻より早く出発してはならないと定めている」と話す。遅延は許されても、早発は許されないのだという。
しかし、首都圏新都市鉄道によると、今回の早発で違反はなかった。乗客が普段目にする時刻表は分単位の午前8時37分発となっており、37分50秒より16秒早い37分34秒に出発したところで、37分発には変わりないためだ。ただ、実際には列車の発車時刻は秒単位。「運転士が持っている仕業票と列車運行図表のダイヤには秒単位で発車時刻と到着時刻が示されている」(首都圏新都市鉄道)という。
枝久保氏は「発車時刻とは列車が動きだす時刻を指す。37分0秒発の列車は36分のうちにドアが閉まるため、乗客が早発を実感するのは難しく、実害はないと言える。ただ運転士が時刻を確認せずに漫然と列車を発車させたのならば安全管理上の問題はある」と指摘している。