近ごろ都に流行るもの

    単発仕事請け負う「ギグワーカー」 空き時間に副業 新世代シニア就労も

    空いた時間に単発仕事を請け負う「ギグ(Gig=単発)ワーカー」が増えている。求人と求職をピンポイントで結ぶ、スマホアプリの登場で可能になった働き方だ。従来のアルバイトと違って、シフトに縛られることなくスキマ時間に働けるのが利点。一方、企業側は採用や人件費が抑制でき、職種が広がっている。学生バイトのイメージが強いが、新型コロナウイルス禍による減収をカバーする副業としても、晩婚化で定年後も子供の学費負担が続くシニア層向けとしても活用されている。

    アクセサリー作家の野本直之さんは、コロナ禍による収入減を多様なギグワークで補っている=東京都千代田区
    アクセサリー作家の野本直之さんは、コロナ禍による収入減を多様なギグワークで補っている=東京都千代田区

    社会科見学みたい?

    東京・秋葉原のアトリエ。金属にバーナーの炎を当てるアクセサリー作家の野本直之さん(32)は、本業の傍らギグワーカーとしてさまざまな仕事をこなしている。コロナワクチン接種会場の案内係、英語検定試験の監督、飲食店の出前…。1日8時間×週5日ギグワークをして、夜だけアトリエに向かうこともあった。「コロナ禍で発注が減り、最悪時は本業の収入が3分に1に減りました」

    販路である百貨店催事やマルシェが軒並み中止となる苦境のなか、ギグワーカーに登録した。「明日や今日の空いている時間に入れるので都合が良い」

    アイドルなどのライブ会場設営現場が好きという。「組み立てる職人さんの仕事を見るのが楽しい」。

    社会科見学みたい?

    「そうですね。作家の仕事は閉鎖的でもあるので、色々な現場に出ることが気分転換になる。本業が回復しても、月に何回かは働きたい」

    野本さんが登録する「シェアフル」は、人材派遣会社の草分け「パーソル」のグループ企業。クラウドソーシング(ITを通じて不特定多数に仕事を発注できる仕組み)運営会社とのジョイントベンチャーで、3年前にギグワークのアプリを始めた。18歳以上が登録できる求職者は前年比倍増の120万人。男女半々、30代以下が過半数、4分の1が大学生だ。職種は多い順に倉庫などの軽作業、コンビニエンスストア店員、配達、事務となっている。

    ギグワークの形態は大きく2種類ある。自転車で歩行者をはねて死亡させた元配達員の裁判で物議を醸したウーバーイーツのような「業務委託(フリーランス)型」と、一時的な従業員として扱うため事故責任を企業側が負う「雇用型」。シェアフルは後者だ。同じく雇用型の「タイミー」は求職者245万人、求人事業所6万3千拠点の最大手。「拡大のベースには、働き手の安心感がある」(同社広報)という。

    超高齢社会を反映し、介護職に特化したギグワークも見つけた。首都圏で展開する訪問介護・生活支援の「クラウドケア」は、約500人のギグワーカーが登録。事業規模はコロナ前の約3倍に伸びている。


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