「安物買いの銭失い」批判を糧に
帝国データバンクは、2021年度の国内100円ショップ市場(事業者売上高ベース)を前年度比5.8%増の9500億円とした。さらに、コンビニエンスストアやネットショッピングなどの販路が広がっていることから、早ければ今年度中に1兆円を突破すると予想している。
大創産業の2022年の売上高は5493億円。国内競争で優位に立つ最大手だが、山中氏は「そこがゴールじゃない。世界市場がある」と気を引き締めた。
海外事業では今年5月、銀座店と同じような3ブランドの総合店舗をシンガポールに出店する。同社は「2030年度までに売上高1兆円」との目標を掲げており、現状に満足していないようだ。
同社常務取締役の小川金也氏は今月13日、記者説明会で「商売を始めたとき、お客さまから『安物買いの銭失いだ』と厳しいことを言われた創業者(矢野博丈氏)が、悔しい思いをして原価を気せず商売するようになった」と50年の歴史を振り返った。
店舗を持たない移動販売業だった半世紀前と、世界25の国と地域に6338店舗を持つ今とでは状況がまったく異なるが、無理だと思えるようなことに挑戦するDNAは受け継がれている。