世界初の「BEVカブリオレ」
実際にキビキビと元気に走る。電気モーターの出力特性は発進の瞬間から最大パワーを発揮する。そのために、信号待ちからの発進でも力強く加速する。BEVとしては異例に軽量で、車両重量は1320キロ。駆動方式はFF。ともすれば前輪がキュキュッとスキッドするような勢いでダッシュするのである。イタリアでは総じて小気味良い走りが好まれる。そんな期待に応えるのだろう。
ボディは新設計である。ガソリン仕様を改良したのではなく、バッテリー搭載を前提に開発されたのも特徴だろう。
フィアット500eには、カブリオレもラインナップする。ルーフ全面が大きく開くフルオープンタイプではなく、キャンバストップの天井が背後まで捲れ上がるタイプ。リアのガラスまでが畳まれる。フルオープンほどの開放感は得られないが、気軽に太陽の光を浴びることができる。「世界初のBEVカブリオレ」の称号を得た。
意外に長い航続距離を生かしたロングドライブも適うし、巷の急速充電器「CHAdeMO」(チャデモ)にも対応している。近所移動の“足”としておくのは惜しい。実際にどんな使われ方をすすめるのか、興味が湧くところだ。
価格は450万円から495万円まで。補助金で差し引けば、納得の値付けである。だが、基本的にはサブスクリプションでのリース販売となる。月々3万400円から5万3900円だという。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。