中国景況感が20年2月以来の低水準 上海封鎖で悪化

    【北京=三塚聖平】中国国家統計局は30日、景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)が、4月は前月より2・1ポイント低い47・4だったと発表した。好不況を判断する節目の「50」を2カ月連続で下回り、湖北省武漢で新型コロナウイルスの流行が深刻化した2020年2月以来、2年2カ月ぶりの低水準となった。

    新型コロナ感染疑い例が1人出たため封鎖されたマンション。夜中にPCR検査が行われ、住民が列を作った=28日、北京市朝陽区(共同)
    新型コロナ感染疑い例が1人出たため封鎖されたマンション。夜中にPCR検査が行われ、住民が列を作った=28日、北京市朝陽区(共同)

    中国各地では3月から感染拡大が続いており、上海などの大都市が相次いでロックダウン(都市封鎖)に踏み切ったため企業活動が停滞した。習近平国家主席は、感染拡大を徹底的に押さえ込む「ゼロコロナ」政策を堅持する方針を強調しており、それに基づく厳しい対策が中国経済に与える打撃が鮮明になっている。

    PMIは「50」を上回れば生産や受注の拡大を、下回れば縮小を意味する。内訳では、柱となる生産、新規受注の指数が5ポイント超の低下を見せた。「世界の工場」を支えるサプライチェーン(供給網)が、都市封鎖で混乱したことが響いた。統計局は「多くの企業で物流・輸送の困難が増大しており、主要原材料と重要部品の供給に支障が出ている」と分析している。

    行動制限が消費に与える打撃も大きい。統計局が同時に発表した非製造業の景況感を示す指数は、前月より6・5ポイント低い41・9と落ち込みが激しかった。運輸や宿泊、飲食といったコロナ対策の影響を受けやすい業種の低迷が目立つ。

    中国では30日に労働節(メーデー)の5連休が始まったが、当局は不要不急の移動を避けるよう求めており、連休初日も北京の繁華街や鉄道駅では観光客らの姿はまばらだった。北京の大手ホテル関係者は「客室稼働率は5%を割り込んだ。この状況がいつまで続くのか」とため息をつく。

    今年の国内総生産(GDP)実質成長率の政府目標は「5・5%前後」だが、ロシアのウクライナ侵攻で原材料価格も上昇しており達成は容易ではない。習氏は4月26日にインフラ投資の加速を指示するなど、景気下支え策を矢継ぎ早に打ち出しているが、どこまでカバーできるかは不透明だ。


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