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WWFジャパンとソニーグループがさらに連携強化  「法人会員」から始まり、より深い「パートナー」として歩む2050年への道

ソニーグループは、国内企業ではいち早く環境保全活動を始め、1990年に世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、東京都港区)の法人会員となった。ともに気候変動対策や生物多様性保全への取り組み推進の旗振り役として連携してきたが、昨年4月にさらに強固な関係構築をめざす「コーポレート・パートナーシップ」を締結した。自社の環境保全への取り組みの一つとして、世界中で環境保全活動を展開しているWWFジャパンの法人会員になる、というかかわりを選択したソニーグループは、以降、気候変動や生物多様性をめぐる活動を通じてWWFジャパンとの関係を深めていった。両者のパートナーシップ締結までの道のりと今後の展望について、WWFジャパン事務局長の東梅貞義さんと、ソニーグループ サステナビリティ推進部 環境グループのゼネラルマネジャー、志賀啓子さんに話をうかがった。

ソニーグループの志賀啓子さん(写真左)とWWFジャパンの東梅貞義さん=ソニーグループ本社(小泉賢一郎撮影)
ソニーグループの志賀啓子さん(写真左)とWWFジャパンの東梅貞義さん=ソニーグループ本社(小泉賢一郎撮影)

再生可能エネルギーが使いやすい環境を

─ソニーグループの環境問題や持続可能な社会の実現に対する課題、現在の取り組みについて教えてください。

志賀さん

当社は「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことをPurpose(存在意義)として掲げ、「人に近づく」ことを経営方針としています。我々が企業活動を営んでいけるのも健全な地球環境があり、人々が安心して暮らせる社会があってのことですので、国内外で事業を行う企業としていま直面している環境問題に取り組む必要性を強く感じています。

その一つに再生可能エネルギー(再エネ)の導入促進があります。自社の事業所に太陽光パネルを敷設したり、自己託送を使って再エネを調達したりといった取り組みを行っており、その結果として2020年度には全世界で約12.9万tのCO2排出削減に貢献しました。

ただ量としてはまだまだ少なく、国内全体の再エネ利用量をもっと増やす必要がありますし、利用しやすくするためのインフラ整備も課題です。これは当社のみでできることではありませんので、他の企業やWWFさんのような団体と連携し、再エネを使う人たちを増やす、あるいは再エネ利用のインフラを整える中で我々の活動やメッセージを発信しています。

また、ソニー独自開発の「SORPLAS (ソープラス)」(※1)という難燃性再生プラスチックや、短年成長植物を使用した「オリジナルブレンドマテリアル」という環境に配慮した紙素材を独自に開発し、従来の素材と置き換える取り組みも行っています。

(※1:「SORPLAS」はソニーグループの商標)

─環境問題に対する企業の取り組みがそれほど社会的に注目されていなかった1990年当時、WWFジャパンの活動に「法人会員」として参画された経緯を教えてください。

志賀さん

当時はソニーとしてより広くビジネスを展開する一方で「社会との関わり」の重要性も意識し始め、いわゆる「企業市民」としての認識を高めていった時期でした。1990年には、当時代表だった大賀典雄が「ソニー地球環境委員会」という推進体制を作り、社員に向けて環境保全活動を全社的に取り組む方針を示しました。そのような活動を行う上で、専門的な知見をもったWWFさんのような外部団体を通じて社会と連携をとりたいという考えがあったと聞いています。

“自己満足”を防ぐ客観的評価

─WWFのインドネシア・スマトラ島での森林保全活動について長年支援されていますが、支援に至った経緯について教えてください。

志賀さん

2010年に「第10回生物多様性条約締約国会議」(COP10)が名古屋市で開催され、その頃から気候変動だけでなく、生物多様性に関する企業の取り組みも次第に注目され始めました。WWFさんとは2000年初頭から気候変動に関する活動をともにさせていただく機会が多く、その流れでインドネシア・スマトラ島での森林保全活動についても情報をいただいていたので、当社としても「コーズ・リレーテッド・マーケティング」(企業が売上によって得た利益の一部をNGOなどの組織に寄付する活動)のような形で関わらせていただくことになりました。

─WWFが主導する気候変動に関する「Climate Savers Programme」(※2 CSP)や、「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」といった森林保全に関する取り組みに参画する意義についてどのようにお考えですか?

※2 CSP:温室効果ガスの意欲的な削減目標を掲げ、業界における地球温暖化対策の推進リーダーとしての役割を果たすWWFのプログラム

志賀さん

当社では独自に「Green Management(グリーンマネジメント)」という中期環境目標を設定しており、気候変動関連の目標もその中に含まれているのですが、「CSP」に参加することによって、その目標設定が「野心的なレベル」にあるかどうかをWWFさんにレビューしていただき、専門的なアドバイスが受けられます。企業がどのような環境対応を求められているのかを教えていただきながら客観的な視点で活動を評価していただけるので、おかげで真に社会に必要な活動を展開できているという手応えがありました。

2015年に「Science Based Targets」(※3 SBT)の認定を日本企業として初めて取得できたのも、CSPの評価時にWWFの方にアドバイスをいただいたことがきっかけでした。

※3 SBT:パリ協定が求める水準と整合した、5~15年先を目標年として企業が設定する温室効果ガスの排出削減目標

「法人会員」からの大きな一歩

─ソニーグループのさまざまな枠組みへの参画について、当時WWFとしてどのような受け止めをされていましたか。

東梅さん

1990年からの32年間、ソニーさんとは「法人会員」をきっかけとし、その後も継続的な対話を通じ関係を深め続けていると感じています。例えば、1997年に日本で開催された「第3回気候変動枠組条約締約国会議」(COP3)で温暖化に対する取り組みを定めた国際協定である「京都議定書」が採択され、2005年に発効されたときのこと。内容を一企業として理解するだけでなく、「社会に広く伝えましょう」という当団体の啓発イベントに、銀座ソニービルの一角を無償提供いただきご協力いただきました。法人会員としてのスタートでしたが、その先を一緒に歩み出すことができたことは我々にとっても新たな一歩でした。

また、CSPへの参画も非常に画期的なことでした。合意を交わした2006年当時はもちろん、つい最近まで日本企業のCO2の削減目標は原単位(車1台など製品当たり)で設定されていました。しかし、温暖化問題ではそもそもCO2排出量の総量を実質ゼロにすることが目標。原単位目標の場合、どんなに効率良く減らしたとしても生産量が増え続ける限り解決にはなりません。そこで当時まだ存在しなかった「総量の削減」という考え方の必要性をお伝えしたところ、CSPのソニー自社目標設定に取り入れていただきました。

WWFは呼びかける団体であっても、実際にCO2の排出量を削減できるわけではなく、賛同していただく企業や社会で活動されている方々によってしか為し得ません。まさにソニーさんはそのことを実現していただいた、非常に力強い賛同者だと思っています。

世界に先駆けたソニーグループの“野心的”取り組み

東梅さん

さらにソニーさんはその先へと進み、2050年(※4)までに「環境負荷ゼロ」を目指す「Road to Zero」という非常に画期的な環境計画を2010年に打ち出されました。世界レベルでは2015年にようやく「パリ協定」が成立し、「産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑える」という目標に向けてCO2排出量を2050年前後にほぼゼロにする必要性が国際合意として採択されました。一方、ソニーさんがRoad to Zeroを発表されたのは2010年なので、パリ協定よりも5年ほど先取りしていたことになります。そのことからも、ソニーさんが気候変動に取り組む企業としていかに先進的であるかがうかがえます。

一方で生物多様性の問題についても影響力を発揮されました。「地球サミット」が開催された1992年、日本政府も地球環境の保全に貢献する方針を示し、国内での関心も高まっていました。ただ、当時の活動は支援や寄付といった慈善活動の色が濃いものでした。それが2000年代に入ると、生物が減り続けている原因として世界的な森林の減少が日本をはじめ世界のサプライチェーンによって引き起こされていることが危機感をもって叫ばれるようになり、私たちWWFも様々な企業や消費者に呼びかけ具体的な取り組みを開始しました。

その一つが「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」です。WWFと企業が協働し、古紙の利用や環境に配慮した紙製品の選択を社会に広める取り組みで、それについてもソニーさんにはいち早くご賛同いただきました。

(※4:5月に気候変動領域における環境負荷ゼロの達成目標を2050年から2040年へ10年前倒しした)

次の10年は重要なステージ

─昨年4月に「コーポレート・パートナーシップ」を締結されましたが、連携を強化した理由と今後のビジョンについて教えてください。

志賀さん

持続可能な地球環境の実現に向けて、さらにWWFさんと連携を強化したいという思いからパートナーシップの締結に至りました。気候変動に関しては当社独自のGreen Managementの目標を推進する一方でCSPによる評価も継続していきたいと考えています。また、パリ協定と整合性のとれた取り組みなどについても引き続き議論し、アドバイスを頂戴したいと思っています。皆さんに「感動を届ける」という我々のPurpose も地球環境が健やかであることが大前提ですので、ともにサステナブルな未来を築いていければと思っています。

東梅さん

次の10年は非常に重要なステージになると思っています。というのは2050年のカーボンニュートラルに向けて2030年にはCO2排出量を約半分にしなければならず、それがもう目前に迫っています。実現に向けて何よりも重要なのは経済を担う企業の取り組みです。ソニーさんには引き続きリーダーシップを発揮していただくとともに、日本として2050年カーボンニュートラル実現にも2030年生物多様性回復にも高い環境目標を目指せるよう、野心的な政策目標への引き上げにも声を上げ続けていただきたいと思います。

【WWFジャパン 法人会員募集中】

WWFジャパンは、法人の皆様とともにSDGs/ESG時代の企業価値向上と、サステナブルな未来を実現します。世界100カ国以上で活動する環境保全団体・WWFネットワークの一員であるWWFジャパンの法人会員から、地球のサポートを始めませんか。
WWFジャパン法人会員制度は企業規模を問わず、1口20万円(複数口可)の年会費で参加いただける制度です。入会金はいただいておりません。「SDGsやESG経営に興味がある」「何をやったらいいかわからない」・・そんな皆様のお悩みにこたえます。

※企業×環境の取り組みや法人会員制度が分かる資料ダウンロードはこちらから:
https://www.wwf.or.jp/campaign/corporate/
※一部ご加入いただけない業種がございます。ご了承ください。

提供:公益財団法人世界自然保護基金ジャパン


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