語る

    システム開発会社「YE DIGITAL」玉井社長「若手社員に成功体験を」

    「あいうえお順」に大切に保管している3千枚の名刺があるという。

    インタビューに答える玉井裕治・YE DIGITAL社長=北九州市
    インタビューに答える玉井裕治・YE DIGITAL社長=北九州市

    「自分が企画・開発した製品を売りたい。その思いで32歳のときに開発の現場から営業に移りました。その1年目、1年間に交換した名刺です」

    九州の学生の就職先人気企業ランキングで上位に顔を出すなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の波を背に成長を続けるシステム開発会社「YE DIGITAL」(ワイイーデジタル、北九州市)の11代目社長に、今年5月に就任した玉井裕治さん(58)。

    営業への転身から1年。売れると確信していた製品(プロトコルコンバータ)の成約はゼロ。先輩の遠藤直人さん(前社長、現会長)から、こう声をかけられたという。

    「注文を欲しがるな。欲しがるからとれないんだ」

    営業の手法を変えた。狙いの企業のキーパーソンを探り、その懐に入り込む。そのために、ターゲット企業の守衛室前で朝から晩まで張り込み、来訪者の訪問先を半年間、チェックし続けたという。

    やがて1件の受注が決まった。すると実績が実績を呼び、ヒット商品となって社長賞を受賞。その経験から「若手社員に成功体験を作ることを大切にしたい」と語る。

    遠藤前社長を支え、進めた「ソーシャルIoT」の下地作りが整い、その実行の旗振り役を託されての社長就任。「お客様に商品やサービスを一度提供して終わりではなく、継続的に新たな顧客価値を創出し、提供し続けるビジネスの確立に向け全力を尽くしたい」

    愛読書は司馬遼太郎の『峠』。「主人公の(長岡藩の家老)河井継之助の生きざまから感じる『志』に心を打たれるんです」。「社長としての志は」の問いに、「社員が『いい会社にお勤めですね』と言われることが私にとって、一番心地いい。社員が、ためらわずに自慢できる会社にしたい」と力を込めた。

    「失敗することを恐れるより、何もしないことを恐れる」が座右の銘。趣味のゴルフで日焼けした顔には「社員とともに挑戦を重ねていく」という強い決意がにじんでいた。(植野伸治)

    玉井裕治(たまい・ひろはる) 昭和61年、安川情報システム(現・YE DIGITAL)入社。プロダクト本部副本部長、常務執行役員組込・制御システム本部長、取締役専務執行役員IoT事業統括などを経て、今年5月に代表取締役社長に就任。佐賀大卒。愛媛県出身。


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