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【東北新幹線40年】㊤豪雪対策 車両や線路、開業前から工夫重ね成長 輸送障害は年「5件未満」

首都圏と東北を結ぶ大動脈、東北新幹線の大宮-盛岡間が23日に開業40周年を迎える。大都市間の大量輸送を担う東海道新幹線と比べ、北に向かう新幹線は国が掲げる「国土の均衡ある発展」を支える役割が期待された。東北は雪に物流や人の往来が寸断され、発展を妨げられてきた歴史を持つ。厳しい環境に置かれた新幹線の戦いをたどる。

温水で線路の雪をとかすスプリンクラー装置=平成24年2月、青森市
温水で線路の雪をとかすスプリンクラー装置=平成24年2月、青森市

東北新幹線のほか、今年は11月15日に上越新幹線大宮-新潟間も40周年を迎えるなど、JR東日本の5方面の新幹線が〝記念イヤー〟となる。これらの新幹線に共通するのは「豪雪地帯」を走るという点だ。

「『雪に強い』新幹線の開通は、東北地方の住民にとって悲願だった。首都圏との行き来が容易になったことは非常に大きなインパクトがあった」

宮城県の村井嘉浩知事は産経新聞の取材に対し、新幹線開業が東北にもたらしたプラス効果を強調した。

東北は南北に並走する三列の山脈・山地で地域が分断され、総面積の8割以上が国指定の豪雪地帯だ。新幹線の開業前、在来線は東京から盛岡まで6時間半、仙台でも4時間余りを要した上、高速道路や航空便とともに「悪天候の影響を受けやすかった」(村井氏)。雪に閉ざされかねない地理的条件だった。

東北新幹線沿線の平均降雪量は令和3年度で那須塩原(栃木)が23.8センチ、北上(岩手)が19.0センチ。上越新幹線沿線では越後湯沢(新潟)が152センチと桁違いだ。


開業当初に日本雪氷学会の会誌に掲載された旧国鉄担当者の寄稿文によると、東北新幹線は10年に1度の積雪があっても正常運行ができることを目標とした。

雪は脱線を引き起こす恐れはもちろん、走行速度が上がるほど舞い上がる量が増え、床下に入り込んで機器を故障させる。さらに車両に付着して氷の塊となった雪が落下し、線路の石を跳ね飛ばして車両や周囲に被害を及ぼす恐れもある。実に開業まで10年以上をかけて雪害対策の技術開発などを進めた。

開業当初から、先頭車両の正面下部に線路上の雪をかき分ける板状の部品「スノープラウ」などを装備。設備では、線路の軌道をかさ上げして線路わきの空間を広くし、取り除いた雪を多くためられるようにした「貯雪式高架橋」などを取り入れた。その後も技術改良を重ね、令和元年には地面からの温水シャワーで車両に付いた雪を落とす大型融雪装置を導入した。

JR東は雪害対策にかかる費用を公表していないが、平成26年2月に管内で記録的な雪が降った際、同年4月からの4年間で新幹線と首都圏在来線での対策費として約180億円を投じると表明。それまでも対策を講じてきたことを理解してもらうため、25年4月からの1年間で約40億円を投じたことも明らかにした。このことから毎年、一定規模の金額を雪害対策に充てているとみられる。

国土交通省によると、ここ10年余りにJR東管内の新幹線(在来線の線路を走る山形、秋田両新幹線を除く)で、運休や30分以上の遅れが出た輸送障害件数は年20~50件程度で推移。うち雪害を要因とする件数について、同社はこの20年で平均化すると「全体の1割程度」としており、年間5件に達するかどうかと推測される。驚くべき安定性だ。

雪害以外では、今年3月の地震で東北新幹線が脱線事故を起こしたが、1カ月未満で復旧するなど「回復力」の強さも見せた。

東北大災害科学国際研究所の奥村誠教授は「厳しい気候の地域で高速鉄道を走らせたことがない中、未知の領域で経験しながら問題解決を図るという日本流の『改善』能力が生かされてきた。今では新幹線の存在を前提に社会が成り立っている」と話している。

(下)に続く



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