シャープ、液晶事業の債務分離 分社化で本社負担を検討

 
シャープ本社

 経営再建中のシャープが、液晶事業の債務を分離し、本社が負担する形で分社化を検討していることが16日、分かった。シャープ本体の有利子負債は今年9月末時点で約7500億円。このうち液晶事業由来の債務は3000億円程度で、分社化を進める際の足かせとなっているとされる。

 シャープは、分社化で外部から得る資金を債務返済に充てたい意向。債務を本社負担にすることで分社化の交渉を進めるのが狙いとみられ、交渉は大詰めを迎えている。

 液晶事業に対しては、官民ファンドの産業革新機構が、傘下の中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)と統合する案を模索し、交渉を進めている。

 産業革新機構では、シャープの債務を引き受けて出資することは「事業再生」の色合いが強く、産業革新機構の本来の趣旨とは異なるとして、シャープの主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に対し債権放棄を求めていたが、両行は強く反発。別の枠組みでの交渉が続いている。

 一方、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業もシャープへの出資を検討している。今年4月頃には1000億円規模の出資を打診。その後、上積みした額をシャープ側に伝え、交渉を進めているもようだ。

 関係者によると、鴻海精密工業は今年に入り、シャープ本体への出資も一時検討したが、ここにきて出資先を液晶事業に絞り込んでいるという。