スマホゲームに新たな潮流 スポーツ実況中継など現実世界と融合

 
「e-Sports」の大会で対戦する参加者=1月、東京・秋葉原

 スマートフォンのゲームを現実世界と融合させた新たな遊び方が広がっている。対戦型ゲームを実況中継付きでスポーツのように観戦したり、位置情報ゲームに出てくる拠点を実際に訪れたり。関連企業はスマホゲーム市場の拡大に期待し、自治体の中には地域活性化につなげたいとゲームを活用する動きもある。

 利用者拡大を期待

 「ここでもう一発。これはうまい。素晴らしい反応です」。1月初旬、東京・秋葉原で、「e-Sports(イースポーツ)」の大会が開催され、会場内に実況中継する男性の声が響いた。イースポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターの対戦ゲーム競技を指す。ゲームの対戦をスポーツに例え、格闘や射撃、サッカーなど幅広いジャンルがある。

 この日のゲームは米ゲーム会社の「Vainglory(ベイングローリー)」。3人一組で、出場者は特技が異なるキャラクターを1つ選択し、2組で闘う。仲間と一緒に敵の本拠地にある「ベインクリスタル」という対象物を破壊した方が勝ちとなる。

 ステージでは6人の出場者がスマホを手に、2組に分かれて座り、大型スクリーンに対戦画面が映し出された。出場者ら約50人が観戦し、ネットでも中継。出場した茨城県常陸大宮市の20代の男性会社員は「日頃から技を参考にしている有名なプレーヤーに会えた」とうれしそうに話していた。

 大会を主催したスマホゲームの動画共有サービスを展開するCyberZ(サイバーゼット、東京)の大友真吾取締役は「多くの人からゲームプレーヤーをかっこいいと思ってもらいたい」とイースポーツ普及を目指す。

 総務省によると、国内のスマホ利用率は2015年で52.1%。手軽に楽しめるパズルゲームなどが女性や子供にも人気で、国内のスマホゲーム市場は15年に6000億円に達したと言われる。

 ただ、ゲーム開発のエイチーム(名古屋市)の中内之公取締役は「ゲームの利用者数の伸びは鈍化していて、新作ゲームの人気も以前ほど長続きしない。経営が厳しいゲーム会社は少なくない」と指摘。新たな楽しみ方を提案し、利用者を増やすことが課題という。

 米IT(情報技術)大手グーグルから独立したナイアンティックが開発した位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」も、自治体が観光客誘致に活用するなど、新しい利用者獲得が期待されている。

 イングレスは、世界中の参加者が緑と青の2チームに分かれ、実際の街のシンボルや史跡といった「ポータル」と呼ばれる拠点を訪れることで、陣取り合戦をするゲーム。13年11月のリリース以来、世界で1400万回以上ダウンロードされているという。歩き回るのでダイエットにもなると人気だ。

 地域の魅力発見も

 神奈川県横須賀市は14年12月から市内でゲームを楽しむための攻略サイトを公開。15年10月のイベントには約2000人が参加した。担当者は「市外から複数回訪れる人が増えた。ゲームを通して職員と利用者との交流も深まり、地域の魅力発見にもつながった」と話す。

 ナイアンティックによると、岩手県、宮城県石巻市、同県女川町、長野県上田市などが観光事業に活用しているという。