買うならどっち? VW『パサート』vsジャガー『XE』 欧州プレミアムセダン対決

提供:@DIME

 国産勢の元気がないプレミアム4ドアセダンのカテゴリーに、欧州メーカーが注目の新車種を投入。燃費もコスパもいい2台を乗り比べてみた。

 2015年6月に発表された欧州生まれの2台の4ドアセダンはボディーサイズこそ、4.7m前後とアッパーミドルクラスだが、その性格や成り立ちは全く異なるモデルだった。ジャガー『XE』は、英国の高級車ブランド、ジャガーのエントリーモデルとして投入された新モデルだ。ボディーサイズは短めの全長にワイドで低い全幅と全高が特徴。コーナリング性能を高める新技術を実用化するなど走りも追求した。

 一方、『パサート』はドイツの大衆車メーカー、フォルクスワーゲン(以下、VW)の上級モデル。1973年に初代がデビューし、本モデルで8代目という長い歴史を持つ。大衆車ブランドの上級セダンとして、実用性をとことん重視した造りに仕上がっている。全長は『XE』より約100mm長いが、ホイールベースは45mm短くて全幅も20mm狭い。だが、全高は55mmも高い。見た目より大きく、存在感があるのは、全幅に広がるグリルの効果かもしれない。

 ◎大幅に改善された燃費性能。走りは全くもって対照的

 パワーユニットも対照的だ。どちらも最新技術を駆使したエンジンを搭載する。『XE』は直4、2LターボとV6、3.0Lのガソリン、直4、2Lのクリーンディーゼルを用意。後輪駆動で8速ATを組み合わせている。燃費は11・8km/Lだが、これでも従来のジャガー車より大きく改善。実走燃費も13~21km/Lを記録した。

 そして『パサート』は、独自の生産技術(MQB)の採用により、パワーユニットまで革新的な構造を実現。1.4Lターボで110PS、250Nmを発生。7速AT+前輪駆動+85kgの軽量化によって20.4km/Lの燃費を達成した。燃費競争の激しいコンパクトカー部門を主戦場とするVWにとって、アッパーミドルクラスでも実用性、経済性を重視したクルマ造りは見事だといえる。

 高級ブランドのエントリーモデルと実用ブランドの上級モデル。この2車を乗り比べてみると、すべてが対照的といってもいいほど異なるものだった。走り出すと、どっしりした安定感のある『XE』。インパネなど各部の造りもしっかりしており、重厚感がある。スポーツカー感覚で乗れるジャガーのエントリーモデルを意識しているようだ。一方の『パサート』は全体に軽めで路面からハンドルへの振動の伝わり方も『ゴルフ』に近い。VWの実直なクルマ造りの精神を継承しながら、うまく上級感を演出している。実用性を重視したい人にはおすすめだ。

 ◎先進的で効率的なスポーツサルーン

 ジャガー『XE』

 試乗したのはグレードの下から2番目の『20プレステージ』。2Lターボは200PS。この上に240PSの『25ポートフォリオ』、V6、3.0Lの『S』がある。8速ATでの0→100km/hの加速は8秒台と2Lのスポーツセダンとしては速いほうだ。走行中に気になったのはアイドリングストップからのスタート時の振動と音。エンジン音も全域でやや大きめ。

 Specification

 ■全長×全幅×全高:4680×1850×1415mm

 ■ホイールベース:2835mm

 ■車両重量:1640kg

 ■排気量:1998cc

 ■車両本体価格:515万円

 ■エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ

 ■最高出力:200PS/5500rpm

 ■最大トルク:320Nm/4000rpm

 ■変速機:8速AT

 ■燃費:11.8km/L(JC08)

 上級モデル『XF』と同じく4ドアクーペ的なプロポーション。レクサスと比較すると全長は『HS』に近く4.7mを切っているが全幅は『GS』並み。全高は『RC』より1cm高いだけ。ボディーはアルミを75%以上使用。

 8速ATのセレクターはイグニッションオンで円筒状のダイヤルがせり上がってくるタイプ。

 ハンドルスポークの左右には車間距離維持走行などを操作できるスイッチがあり片手で操作可能。

 ◎ゴキゲンになる上質セダン

 VW『パサート』

 どっしりした印象や直進性の安定感は『XE』よりやや劣るものの、エンジン音などは静か。乗り心地も『Rライン』専用の19インチタイヤを装備しているのに、ゴツゴツ感も少なく乗り心地はフラット。1.4Lターボ+7速ATの性能は0→100km/hの加速が9秒台。高回転域での伸びはイマイチだが走る姿は力強く迫力がある。

 Specification

 ■全長×全幅×全高:4785×1830×1470mm

 ■ホイールベース:2790mm

 ■車両重量:1460kg

 ■排気量:1394cc

 ■車両本体価格:460万9800円

 ■エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ

 ■最高出力:110PS/6000rpm

 ■最大トルク:250Nm/3500rpm

 ■変速機:7速AT

 ■燃費:20.4km/L(JC08)

 フロント、リアともにワイドに見えるデザインを採用し、存在感を強調している。撮影車両はハイラインに設定される『Rラインパッケージ』という最上級モデル。ルックスもよりスポーティーだ。

 7速ATはノーマルのシフトレバー。ここでマニュアルモードもシフトできる。

 ハンドルスポークには全車速追従性能などの操作スイッチを搭載。このほか安全性能も充実。上級車にふさわしい装備だ。

 《セダンに求められる快適性に+αを加味した個性的な2台》

 ◎ジャガー『XE』

 ■エンジンルーム

 4気筒エンジンをタテ置きにしており、後輪で駆動する。4輪駆動モデルはない。今回試乗したのはガソリン使用の2.0Lだったが、2.0Lのディーゼル版も投入される予定。こちらも気になるところだ。

 ■運転席と各種装備

 全幅は『パサート』より20mm広いが、センターコンソールの幅が広いため、運転席はややタイトな印象を受ける。ジャガーはこれをスポーツカーを意識したドライビングポジションと表現している。

 ■シートスペース

 前席はヨコ方向のホールドもよく、スポーツドライビングに適している。全高は低いが頭上の圧迫感は少ない。後席は座面が長く、たっぷりしているが足元が狭いのが気になる。身長170cmぐらいまでが限界か。

 ■ラゲージスペース

 スペースはあまり広くない。奥行きは1000mm、左右幅は820~1250mm、高さ約400mm。ゴルフバッグは斜め置きにしてもちょっと厳しいかもしれない。後席の背もたれは同社初の4/2/4の分割可倒式。

 ◎VW『パサート』

 ■エンジンルーム

 コンパクトな4気筒エンジンがヨコ置きされている。一時的に2気筒を休止させる機能を備え、低燃費を実現している。『スカイライン』クラスのボディーと1.4Lターボの組み合わせだが、動力性能は十分だ。

 ■運転席と各種装備

 ダッシュボードは全体に低めの設計になっており、前方視界もよい。純正のインフォテイメントシステムは画面操作時には手を近づけただけでメニュー画面が現われたり、指先操作で拡大/縮小ができる。

 ■シートスペース

 『Rライン』専用のシートは両縁が高く、体を支えてくれる。Aピラーが細く、三角窓もあるので斜め前方の視界もよい。後席はやや高めの着座位置で、頭上、足元も広いが、中央床面は高め。左右2名が快適定員。

 ■ラゲージスペース

 『パサート』といえば、トランクの広さに定評があるクルマ。新型も奥行き1100mm、左右幅1040~1400mm、高さ560mmとかなり広い。足のつま先をバンパーの下にすっと入れるとトランクのドアが開く機能も用意。

 自動車生活探検家石川真禧照さん

 いずれも完成度は高くコスパもいいが、一長一短がある

 ◎JAGUAR XE

 [運転性能]滑りやすい路面でもハンドル操作のみで一定の速度が保てる機能を採用するなどスポーツドライビングを重視。18点

 [居住性]タイト感のある室内空間をどう評価するかだが、個人的には○。ただしトランクスペースを広くしてほしい。17点

 [装備の充実度]安全装備や快適装備は高級車ブランドらしい先進性を持つ。オプションで縦列・並列駐車が自動でできる装備も。19点

 [デザイン]最近のジャガーは同じ顔ばかりで退屈。以前はそれぞれ個性的な顔だった。もう少し個性があってもよいのでは。17点

 [爽快感]スポーツカーメーカーが造るエントリーモデルとはいえ、ハンドルを握るとそれなりに楽しませてくれる。18点

 [評価点数]89点

 ◎VOLKSWAGEN Passat

 [運転性能]ガンガン攻めるタイプのクルマではないが、軽快に走る。FF車らしさは感じさせない。実用車としては十分だ。17点

 [居住性]室内は明るい。前席、後席ともに広々とした印象がある。トランクスペースも広い。19点

 [装備の充実度]安全装備の充実ぶりは世界でもトップレベルといっていいだろう。VW初の装備も多く搭載されている。19点

 [デザイン]幅が広く押し出し感のあるフロントマスクと端正なボディーラインが特徴。VWのエンブレムが似合わない!??17点

 [爽快感]1.4Lターボの走りは十分だが、やはり限界はある。ハンドリングのシャープさもやや不満。17点

 [評価点数]89点