東芝、V字回復苦境 半導体と原発の2本柱にリスク
経営再建中の東芝は18日、平成29年3月期に最終損益で3期ぶりの黒字を目指す事業計画を発表した。社内カンパニーを7社から4社に減らし、東芝本体では29年4月入社の事務系、技術系の新卒採用を見送る。事業規模を縮小し、経営資源を記憶用半導体と原発の2本柱に集中してV字回復を目指す。だが、両事業を取り巻く環境は厳しくなっており、米原子力子会社の減損リスクもくすぶる。シナリオ通りに業績回復ができるか、不透明感も漂う。
29年3月期の計画では、売上高は前期見通し比1兆3千億円減の4兆9千億円で、5兆円を割り込めば22年ぶり。最終利益は400億円を見込む。リストラ効果で全事業の黒字化を達成した後、31年3月期に売上高5兆5千億円、最終利益1千億円を現時点での目標として掲げた。
これまで約1万人としていた人員削減は、3月末時点で1万3820人に膨らむ。27年3月末に21万7千人だったグループの従業員数は29年3月末には18万3千人まで減る見込み。スリム化で収益体質を取り戻そうとする姿勢が鮮明だ。同日会見した室町正志社長は「今期の構造改革、資金改革の成果を来期の全事業の黒字化につなげる。永続的な発展を遂げられる企業へ再生したい」と述べた。
一方で、東芝は同日、米司法省と証券取引委員会(SEC)から米原発子会社ウェスチングハウス(WH)など複数の米子会社が調査を受けていると発表した。「会計問題に対する内容」(室町社長)とみられ、懸念が強まっている。
WHは東日本大震災の影響で原発の新規建設中止が相次ぎ、25年3月期からの2年間は事業や資産評価を低く見直す減損処理を実施していたが、東芝本体では行っていない。ブランド価値に当たる「のれん代」は3月末で3513億円あり、減損処理を迫られる可能性もある。志賀重範副社長は「資産価値が低下したため新たな減損テストを行い、その結果を見てから、今期の決算に反映するか判断したい」と述べるにとどめた。
さらに、原発を含む電力・社会インフラ事業は保守サービスで一定の収益が上げられるものの、原油安の影響で電力設備の新規建設の動きが止まる可能性もある。もう一方の柱である記憶用半導体もスマートフォンの販売鈍化で昨年から市況が悪化している。
東芝幹部からは「2本柱の先行きは不透明。目標達成できるかわからない」との声も漏れる。
中国経済減速や原油安など外部環境は悪化。巨額損失後、環境の改善を追い風に復活を果たした日立製作所とパナソニックとは事情が異なる。逆風をはねのけられるか、創業140年の老舗の底力が試される。
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