あすから電力小売り全面自由化 8兆円市場争奪戦、値下げやサービス向上に期待

 
東急二子玉川駅で、電気の契約を勧誘する東急パワーサプライのスタッフ=5日、東京都世田谷区

 電力小売り全面自由化が4月1日に始まり、家庭も購入する電力会社を自由に選べるようになる。全国の大手電力10社による地域独占が崩れ、8兆円とされる家庭向け電力市場が開放される。都市ガスや通信といった異業種が新規参入するほか、東京電力など大手電力もこれまでの地域の垣根を越えて販売を競う。競争が活発になることで、料金の引き下げやサービスの向上が期待されている。

 新電力も大手もすでに4月1日からの新プランを受け付けている。経済産業省によると25日時点で266社が電力小売りに必要な登録を済ませた。中部電力などが首都圏での電力販売に乗り出す一方、東電が中部や関西地域に参入するなど大手の越境販売も活発化している。

 電力広域的運営推進機関(広域機関)によれば、23日時点で新電力に切り替えた家庭は約33万件に達した。ただ一般家庭の契約数(6260万件)の0.5%にとどまり、切り替えが本格化するのはこれからだ。

 また新電力への切り替えを管内別にみると、東電が19万2000件で最多だが、中国電力は100件、沖縄電力はゼロ。新電力は需要の大きな首都圏を主なターゲットにするため、地方の消費者は自由化の恩恵を感じにくくなっている。

 高浜原発(福井県)の稼働が見通せない関西電力は、管内での安定供給を優先し越境販売を正式に決めていない。原発再稼働が広がらなければ需給環境が改善せず、越境販売や新規参入による競争が滞る懸念がある。

 自由化後のコスト競争をにらみ、二酸化炭素(CO2)排出量は多いものの燃料費が低い石炭火力の新設計画が相次ぐ。自由化と温室効果ガス削減の両立が課題として残る。