拡張“限界”近づくUSJ それでも新アトラクション建設へ秘策アリ?

 
USJの15周年パレード「ユニバーサル・リ・ボーン・パレード」=大阪市此花区(南雲都撮影)

 大阪市のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の平成27年度の入場者数が、映画「ハリー・ポッター」エリアの開業効果で過去最高だったた前年度の1270万人を突破した。年間では1380万人前後になるとみられ、1500万人程度とされる収容可能人数に迫るにつれて混雑が目立つ。運営会社のジャン・ルイ・ボニエ最高経営責任者(CEO)は「あと年300万~400万人増やすことができる」と述べたが、周辺に空き地などが見当たらないなか、今度はどんな“魔法”をみせるのだろうか。(阿部佐知子)

 過去最高更新

 18日、USJに今月末の開業15周年を記念した大型アトラクション「ザ・フライング・ダイナソー」が登場した。

 「絶叫マシンが好きな人にも満足してもらえる」と運営会社幹部が自信をみせるアトラクションは投資額100億円。全長1240メートルで、高低差は最大37・8メートル。レールからつり下げられたタイプのフライングコースターとしては全長、高低差ともに世界一だ。恐竜に背中を捕まれて振り回されるテレビCMが話題を呼んだこともあり、初日は開園して数十分で入場の列に並ぶのを締め切った。

 USJの入場者数は、米映画のテーマパークとして開業した直後の平成13年度は約1100万人を記録したが、その後は低迷を続けた。アトラクションの陳腐化などで一時は750万人前後に落ち込んだ。

 このため平成22年ごろから「米映画だけ」へのこだわりを捨て、国内で人気の漫画やゲームをテーマにしたイベントを開催。子供に人気のあるハローキティやスヌーピーなどをテーマにしたエリアも開業し、家族連れの取り込みに成功したことで入場者数が増加に転じた。そして26年度は「ハリポタ」エリアの開業効果で入場者数は13年度を上回り、1270万人になっていた。

 今年度の入場者数についてはすでに3月7日に前年度を超えている。運営会社の村田篤平執行役員は「1400万人には届かないと思う」と予測するが、今度も15周年イベントなどの効果で月末までに1380万人前後になるとみられる。

 目立つ混雑

 入場者が増えたことで、当然ながらアトラクションの混雑が目立っている。

 フライング・ダイナソーと同じの絶叫系で、25年3月に開業した後ろ向きジェットコースター「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ」の待ち時間は4時間10分。開業初日の7時間半からはさすがに半減しているが、それでも4時間超の待ち時間はかなりのものだ。

 人気の「ハリポタ」エリアのメーンアトラクションで、今年2月からの期間限定「きゃりーぱみゅぱみゅXRライド」では、平日でも4時間以上になることもある。スパイダーマンやジュラシック・パークなどのUSJの定番アトラクションでも2~3時間待ちは珍しくない。

 千葉県浦安市のテーマパーク、東京ディズニーランド(TDL)でも人気アトラクションの待ち時間は3時間待ちはあるが、平日に4時間を超えることは少ないといい、USJはより利用者を待たせる傾向にあるといえそうだ。

 限界近づく?

 今年度、過去最高の入場者数を更新した3月7日、来年度の目標を問われた村田執行役員は「毎年増やしていくのが使命だ」と答えている。

 年間入場者数については米メディア大手のコムキャスト傘下に入った昨年11月に就任したボニエCEOも「新アトラクションやイベントの導入で300万~400万人は増やせる」と自信をみせた。

 すでに収容可能人数の1500万人に近づきつつなるなか、新アトラクションなどを整備する場所の余裕がない。USJは大阪市や民間企業から借りた土地に整備され、周囲にはまとまった空き地などは見当たらないのが実情だ。

 ところが、ボエニCEOは「アトラクション建設する場所はまだまだあると考えている。『ハリポタ』エリアも駐車場を使ったが、(オフィスや倉庫などの)バックヤードを動かすといったことが検討できる」と秘策を打ち明けた。

 実際、任天堂との提携で事業展開を進める新アトラクションについては、正面ゲートを入って左側すぐのエリアに設置することを想定している。

 現在イベントスペースなどに使われており、拡張できる土地が少ないが、イベントスペースに隣接する事務所や従業員の控室などに使用しているエリアの移転も検討することでスペースを確保するという。

 ただ、収容可能人数を増やすにはアトラクションだけでなく、レストランやトイレなどの施設や、USJ以外にもホテルなど周辺の受け入れ態勢の充実も必要となるとみられる。それらを解決するのに運営会社が次にどんな魔法を使うかが注目されている。