セブン&アイHD、村田社長も退任へ 鈴木会長に同調し人事混乱で引責

 
記者会見で辞意を表明したセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)=7日午後、東京都中央区

 セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長兼最高執行責任者(COO)(72)が退任する見通しとなったことが12日、分かった。辞任表明した鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)(83)とともに人事をめぐる混乱の責任を取る。村田氏は2005年に社長兼COOに就き、鈴木氏を支えてきた。取締役会は一気に若返るとみられるが、絶大なリーダーシップがあった「鈴木・村田体制」をしのぐ経営基盤の確立には時間が必要で、集団指導体制で難局を乗り切る戦略となりそうだ。

 役員選任などの透明性を高めるため取締役会が任意で設置した諮問機関「指名・報酬委員会」の委員も村田氏は務めている。鈴木氏は新体制の「指名はしない」と明言して委員を外れる見通しとなっており、村田氏は社内の代表として社外取締役の委員と新体制を策定した上でけじめをつける方向だ。

 村田氏は鈴木氏に同調し、セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼COO(58)を退任させる案を7日の取締役会に諮った。だが15人の取締役のうち賛成票を投じたのは7人と過半数に届かず否決された。

 井阪氏退任案に賛成した他の取締役は残留の方向で調整している。相次いで退く事態になれば、会社が空中分解しかねないためだ。

 個人消費は低迷し流通業界の競争は激化している。鈴木氏が成長戦略に掲げた新たなインターネット通販サイトの事業は道半ばで、スーパーのイトーヨーカ堂も業績不振が続いて抜本的な改革が急務だ。19日の取締役会で新体制が決議されれば「『ノーサイド』の精神でまとまり、課題への対応を加速すべきだ」との声が強まっている。