森ビルの虎ノ門再開発、東京の国際競争力を一新 「官庁のおひざ元」立地生かす
森ビルが手掛ける東京・虎ノ門地区の再開発計画のイメージ
森ビルが発表した東京・虎ノ門地区の再開発の意義は、地域の価値向上にとどまらない。官庁街に近接する立地を生かした国際ビジネス拠点の再生は、海外からの投資の呼び水となる可能性も秘めており、「国際都市・東京」の競争力を高めるシンボルともなりうる。
虎ノ門は中央官庁が並ぶ霞が関に近く、周辺に法律事務所や大使館なども多い。昭和43年には日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」が完成するなど、かねて国際ビジネスの拠点と位置づけられてきた。
だが、近年はオフィスビルの老朽化が進み、交通の不便さもあってビジネス拠点としての魅力が低下。大手企業が他の地区にオフィス移転するなど、地盤沈下が目立っていた。
今回の再開発は、眠っていた虎ノ門の潜在能力を引き出す試みだ。鉄道やバス路線の整備で弱点の交通アクセスが向上し、都市機能が高まれば「官庁のおひざ元」という立地が生きる。平成26年開業の「森タワー」に欧製薬大手など多くの外資系企業が入り、地価を3割以上押し上げた実績も追い風となっている。
国際ビジネス拠点としての機能が東京に加わることは日本経済にも好影響だ。少子高齢化の中、日本経済の牽引(けんいん)役となる都市が「世界から選ばれる投資先」とならなければ、持続的成長が見込めないためだ。辻慎吾社長も会見で「香港などと(外資系企業)アジア本部の座を争う」と話す。
乗り越えるべきハードルもある。都心のオフィス供給は増加傾向で「景気が足踏みを続ければ短期的にテナントの奪い合いとなる恐れもある」(三菱UFJ信託銀行の野田誠専門部長)。今後は虎ノ門全体の一体開発と同様に、東京全体に視野を広げた再開発地区同士の連携も求められそうだ。(佐久間修志)
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