「家電は大手」打破に一人挑戦 ベンチャー「UPQ」代表取締役・中沢優子さん
大手メーカーがつくって量販店に並べる-。そんな家電の“常識”が変わってきた。デジタル化の進展と製造技術の高度化でEMS(受託製造サービス)が台頭。工場を持たずに生産を委託し、インターネット通販という手段も活用できる。代表取締役の中沢優子さん(31)が一人で立ち上げたベンチャー「UPQ(アップ・キュー)」(東京都千代田区)は、その象徴的な存在だ。圧倒的なスピードで、シンプルさにこだわった商品を次々と開発している。
昨年7月に設立され、スマートフォンやデジタルカメラなどを投入してきたUPQが今月21日に発表した新商品は電動バイク。従来の考え方では家電には分類されないが、中沢さんは発表会で「家電ベンチャーだからここまで、という考え方をすれば、ものづくりの可能性を狭めてしまう」と強調した。
同時に発表したカメラにも、UPQの考え方が見て取れる。自転車やスキーヤーなどが装着して動きのある動画を撮る「アクションカム」だが、あえて普通のカメラに近いデザインとした。「何だかわからない外見だと、女性やお年寄りは手に取らない」からだ。
中沢さんは2007年に入社したカシオ計算機で、仲間と一緒にモノを作る楽しさに目覚めたという。携帯電話の開発に携わり、人物を美しく撮影できる「美撮りモード」の搭載などに貢献したが、同社が携帯電話事業から撤退したため退社した。
UPQに所属しているのは中沢さん一人だが、エンジニアやデザイナーらと“チーム”をつくって商品開発を進める。製造は中国の工場に委託。週に1回は、商品のサンプルを詰めて重くなったリュックを背負い、現地入りする。デザインやコストについて交渉して試作を繰り返し、低価格で独自性のある商品開発につなげてきた。楽しみながらも妥協しないのが流儀で、「手を抜かずにがんばれば、誰かに大事に使ってもらえるモノが作れる、というのがこの仕事の魅力」(中沢さん)と言う。
シャープがEMS最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、東芝は家電事業を売却するなど、業界は元気がない。中沢さんは「家電はすでに一般の欲求を満たす機能を備えていて、スペックを上げても(消費者の)気持ちが追いついてこない。私たちは、詰め込みすぎていた機能をシンプルにして、商品として“飛び抜けさせる”ということをしていきたい」と話している。(高橋寛次)
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