生保大手4社、マイナス金利で資金運用に苦心 日本国債から外債にシフト

 

 生命保険大手4社の平成28年度の資金運用計画が26日まとまり、日本国債から米国債など外国債券へのシフトが鮮明になっていることが分かった。日本国債の利回りが日銀のマイナス金利政策の影響で大幅に低下していることに対応したものだが、各社とも運用利回りを確保しようと苦心している様子がうかがえる。(飯田耕司)

日本国債機能せず

 「経験したことない世界だ。非常時の一年と位置付ける」。明治安田生命保険の山下敏彦副社長は26日の運用計画説明会で危機感をあらわにした。

 生保は、顧客と30年間といった長期間の契約を結んでおり、これまで契約者から集めた保険料について主に安全資産とされる日本国債の20年債や30年債で運用してきた。

 だが、日銀が1月末にマイナス金利政策の導入を決めて以降、10年債の利回りがマイナス圏に突入した。20年債、30年債も0.3%前後と大きく低下、超低金利の状況に拍車が掛かっている。現在、「日本国債は運用対象として機能しなくなった」(日本生命保険の佐藤和夫財務企画部長)というのが実情だ。

 社債も含めた国内債券は、明治安田生命が横ばい、日本生命、第一生命保険、住友生命保険の3社は減少とした。

 各社は、保険料を一括で支払う円建ての「一時払い」の年金、終身保険の値上げや販売休止に踏み切った。超低金利が続けば、学資保険、「月払い」の終身保険についても利回りが約束できなくなるため、各社が値上げの検討を余儀なくされている。

問われる目利き力

 一方で、生保各社は、償還を迎える日本国債の多くを外国債券に振り向ける戦略を加速させている。10年債の金利が2%近辺で推移する米国債、2%半ばのオーストラリア債など利回りに魅力があるためだ。

 住友生命の松本巌執行役員兼運用企画部長は「米国の利上げタイミングをにらみながら積み増す」と話す。同社は欧米豪を除く周辺国への外債投資を引き続き増やすほか、投資年限についても長期化を図る。

 第一生命は外債のほか、「航空機リースへの投資など比較的高いリターンが得られやすい分野への資金配分を増やす方針」(山本辰三郎執行役員運用企画部長)だ。27年度は4千億円を成長分野に充てた日本生命も、年10%以上の利回りを期待できる発電所や上下水道などを投資対象とするファンドに選別投資する。

 ただ、外国債券は為替変動リスクを抑えた「ヘッジ外債」の利回りが低下するほか、インフラ投資も争奪戦の様相を呈しており、リスクに対するリターンが見合わないケースも多い。投資の“目利き力”が問われているともいえそうだ。