筒井義信会長【拡大】
日銀がマイナス金利を導入したことで、生命保険会社の経営が苦境に立たされる恐れが出てきた。顧客から預かった保険料の運用が一層困難になることが見込まれるほか、一部商品の保険料値上げで顧客離れが懸念されるためだ。高利回りの外国債券も足元の円高水準が逆風で、「長引けば体力勝負の様相が強まり、再編機運が高まる」との声も出てきた。
「日本国債を中心とする運用はもはや困難」。生命保険協会の筒井義信会長(日本生命保険社長)は19日の会見で、マイナス金利の影響について危機感をあらわにした。
預かった保険料の3~4割を20~30年の日本国債で運用する生保会社は、かつての高金利時代の国債を多く保有しており、直ちに経営危機には直結しない。債券に投資した額の平均回収期間(デュレーション)は約15年で、仮に5年間低金利が続いても、影響は3分の1にとどまるからだ。
ただ低金利が長引くほど、償還期限を迎える高利回り国債の代わりに、金利が低い国債に切り替える割合が増えるため「経営にボディーブローのように効いてくる」(生保大手幹部)。