農業総合研究所「農家の直売所」2000店舗へ 新選択肢「中規模の産直流通」
スーパーマーケットに農家の直売所を展開している農業総合研究所(和歌山市)の及川智正CEO(最高経営責任者)は、“農業の流通革命”を先導している「農家の直売所」のネットワークの拡大にアクセルを踏む方針を明らかにした。3年後の2019年をめどに、農家の直売所を設置するスーパーを2000店舗(現在は600店舗)へ拡大を目指す一方で、登録する農家の数を2万生産者(現在は5500生産者)に増やす方針だ。
「持続可能な農産業を実現し、生活者を豊かにすることを経営目標に掲げ、ビジネスとして魅力ある農産業の確立を目指している」。及川CEOは、農産業創造ベンチャー企業である農業総合研究所の経営理念をこう説明する。
同社が展開する「農家の直売所」のシステムは、登録する約5500人の生産者が全国60拠点の集荷場に農産物や加工品を持ち寄り、東京、名古屋、大阪などの都市部を中心とした約600店のスーパーに設置している「農家の直売所」で委託販売する仕組み。
農家にとっては、自由に価格や販売先を決められるメリットがある。消費者にとっても、鮮度が良く、生産者の顔が見える農産物を、新鮮なまま近くのスーパーで手頃な価格で手に入れられるメリットがある。及川CEOは「これまでは、JAグループによる大規模流通網と、道の駅などの小規模な直売流通しかなかったが、農家の直売所は中規模流通の産直流通という新たな選択肢を農家と生活者の双方に提供した」と話す。
及川CEOが農家の直売所事業で目指す農業の姿は「農家をメーカーにする」ことだ。農家が価格決定権や販売先を決められるようにさまざまな情報を提供し、「農家の経営力」を高める狙いがある。
それには、農家の直売所のネットワークの拡大が喫緊の課題で、200万人都市に拠点を持つ食品スーパーをターゲットに販売拠点網を増やす方針だ。さらに、全国20都道府県で展開している直営と提携の集荷場についても、「来夏に北海道に拠点を築くほか、ネットワークを広げたい」と話す。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に伴い、農業のグローバル化が求められており、及川CEOは「日本の新しい農業を創造するために、国内の足場を固め、海外事業も本格的に展開したい」と意欲を示す。(小島清利)
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【会社概要】農業総合研究所
▽本社=和歌山市黒田17-4
▽設立=2007年10月
▽資本金=4200万円
▽従業員数=90人(パート含む)
▽事業内容=スーパー内などに設置する農家の直売所運営、農業コンサルティング、貸し菜園プログラミング教育サービスの提供
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