国内景気、企業の7割が「横ばい」 過度な円高進行を懸念

 
急速な円高は自動車など輸出企業の収益を圧迫する(AP)

 足元の国内景気について企業の約7割が「横ばい」とみていることが3日、フジサンケイビジネスアイが主要企業121社を対象に行ったアンケートで分かった。「やや悪化している」を含めると約8割に達し、多くの企業が日本経済は停滞局面にあると認識していることが浮き彫りとなった。年末までの懸念材料として「過度な円高の進行」を挙げる企業が業種を問わず多かった。

 急騰一時105円台

 アンケートは4月中旬から下旬にかけて実施した。無回答を除いて計算したところ、全体の67%が「横ばい」、13%が「やや悪化している」と答えた。これに対し、「やや拡大している」は18%、「拡大している」は2%にとどまった。

 「やや悪化している」と答えた企業を対象に理由(2つまで)を聞いたところ、最も多かったのが「個人消費の低迷」だった。「所得増を実感している人が少ないのか、力強い消費が感じられない」(外食)との声があった。このほか、「海外経済の低迷」や「原油・資源価格の下落」などがあった。

 年末までの国内景気の懸念材料については「過度な円高の進行」が多かった。円相場は昨年末に1ドル=120円台だったが、3日の海外の外国為替市場で、一時1ドル=105円台まで急騰。円高は、輸出企業の収益を圧迫するほか、輸入物価の下落を通じてデフレ圧力にもなる。

 海外は拡大基調

 一方、足元の海外景気については「やや拡大している」との回答が最も多く、全体の46%を占めた。「横ばい」は30%で、「やや悪化している」は23%、「悪化している」は1%だった。「米欧など先進国が引っ張る形で、緩やかながらも拡大基調をたどっている」(保険)とみている。

 海外景気の懸念材料(2つまで)では「中国経済のハードランディング(急激な悪化)」が最多。昨年8月の「中国ショック」や年明け以降の金融市場の混乱を踏まえ、「中国経済の減速が、日本経済にとっての最大のリスク要因」(証券)という警戒感は今も根強いようだ。

 ■主要121社調査 アンケート回答企業

 IHI▽曙ブレーキ工業▽旭化成▽アサヒグループホールディングス▽味の素▽アステラス製薬▽イオン▽出光興産▽伊藤忠商事▽ANAホールディングス▽SMBC日興証券▽NEC▽NTT▽NTTドコモ▽MS&ADインシュアランスグループホールディングス▽大阪ガス▽オリックス▽花王▽鹿島▽川崎重工業▽関西電力▽キッコーマン▽キヤノン▽九州電力▽京セラ▽キリンホールディングス▽クボタ▽KDDI▽神戸製鋼所▽コスモエネルギーホールディングス▽コマツ▽サッポロホールディングス▽サントリーホールディングス▽JR東海▽JR西日本▽JR東日本▽JXホールディングス▽JFEホールディングス▽JTB▽Jパワー(電源開発)▽J.フロントリテイリング▽資生堂▽清水建設▽シャープ▽商船三井▽新日鉄住金▽スズキ▽住友化学▽住友商事▽住友生命保険▽セイコーエプソン▽積水ハウス▽セコム▽セブン&アイ・ホールディングス▽双日▽ソニー▽ソフトバンクグループ▽損保ジャパン日本興亜ホールディングス▽大成建設▽第一生命保険▽ダイキン工業▽大和証券グループ本社▽大和ハウス工業▽高島屋▽武田薬品工業▽中部電力▽T&Dホールディングス▽DMG森精機▽帝人▽TDK▽東京海上ホールディングス▽東芝▽東北電力▽東レ▽トヨタ自動車▽豊田通商▽中日本高速道路▽日産自動車▽日本航空▽日本生命保険▽日本たばこ産業(JT)▽日本通運▽日本マクドナルドホールディングス▽日本郵船▽任天堂▽野村ホールディングス▽パソナグループ▽パナソニック▽東日本高速道路▽日立製作所▽ファーストリテイリング▽ファミリーマート▽富士通▽富士フイルムホールディングス▽ブリヂストン▽マツダ▽丸紅▽みずほフィナンシャルグループ▽三井住友トラスト・ホールディングス▽三井住友フィナンシャルグループ▽三井物産▽三井不動産▽三越伊勢丹ホールディングス▽三菱ケミカルホールディングス▽三菱地所▽三菱自動車▽三菱重工業▽三菱商事▽三菱電機▽三菱UFJフィナンシャル・グループ▽明治安田生命保険▽ヤクルト本社▽ヤマトホールディングス▽ヤマハ発動機▽吉野家ホールディングス▽楽天▽リクルートホールディングス▽リコー▽りそなホールディングス▽ローソン▽ロート製薬(アンケートは4月に実施、企業名は五十音順)