投資家交流で兜町再活性化 平和不動産、新たな情報発信拠点運営

 
投資家が集う情報発信・交流の場を目指す「カフェサルバドルビジネスサロン」=東京都中央区

 東京証券取引所を核に金融街として発展を遂げてきた日本橋兜町(東京都中央区)。バブル期には米ウォール街や英シティーと並ぶ世界の金融センターとされ活況を呈した。しかし、株式取引の電子化によって立会場がなくなったことや、バブル崩壊後に証券会社の移転・統廃合が相次ぎ、にぎわいを失いつつある。その動きに「待った」をかけるのが、取引所を所有する平和不動産。兜町の金融街としての再活性化に向け、投資家や起業家の交流機能の強化に乗り出した。計画中の再開発ビルには海外の投資家誘致ももくろむ。

 4月初旬、東証の目と鼻の先にある東京証券会館(日本橋茅場町)1階にしゃれた店舗「カフェ サルバドル ビジネスサロン」が本格的にオープンした。運営するのは平和不動産と、数多くのカフェブランドを展開するカフェ・カンパニー(東京都渋谷区)だ。

 カフェは、投資家や起業家の新たな情報発信、交流の場として位置付ける。ビジネスイベントやセミナーなどが開催できる「ビジネスエリア」と「カフェエリア」で構成されており、夜はバーとしても利用できる。人通りが少なくなる土日・祝日にもあえて営業し、交流の機会をできる限り多く提供する。

 ◆資産運用拡大を期待

 運営に継続的に関わっていくのが、コモンズ投信会長の渋沢健氏とセゾン投信社長の中野晴啓氏、レオス・キャピタルワークス社長の藤野英人氏の3人で構成する“草食投資隊”。いずれも業界で名をはせる独立系運用会社のトップだ。

 「今日買って明日売るようながつがつした肉食ではなく、コツコツと毎日積み立てるような投資を普及させること」(レオス・キャピタルワークスの白水美樹取締役)が、草食投資隊の目標。全国の都道府県を訪れ、投資の活性化に向けた啓蒙(けいもう)活動を行っている。

 新たなカフェでは、起業家も交えて継続的にセミナーなどを開催する方針。平和不動産の中尾友治執行役員は「資産運用ビジネスが広がることを期待したい」と語る。

 平和不動産は、東証周辺で2020年の完成を目指して計画する大規模再開発計画で、海外投資家も積極的に誘致する。ニューヨークやロンドン、香港に足を運び直接意見を交わしたところ、東京進出に意欲を示す投資家が多かったからだ。

 同計画で建設を予定するオフィスビルにも、投資家らコミュニティーの拠点を設置する。かつての立会場と似たにぎわいを取り戻すことで、個人投資家が可能性のある起業家に投資する土壌を形成する。大企業の新規事業開発担当者らも集うような拠点を目指す。

 ◆20年見据えた計画

 平和不動産の岩熊博之社長は新たにオープンしたカフェについて「20年を見据えた先行プロジェクト」と位置付けており、ここで得たノウハウを再開発計画に反映させる考えだ。

 海外の投資家からは「ホテルや外国人が集まるバーがほしい」「英語対応の病院はあるのか」など、「数多くのヒントをもらった」(中尾氏)という。再開発計画などを通じ、それらを意識した街づくりも検討していく。(伊藤俊祐)