チャーター便旅行、中高年世代らに人気 地方観光の牽引役に期待

 
北海道から鹿児島まで全国14都市に就航するフジドリームエアラインズ(FDA)。チャーター便事業を拡大させている(同社提供)

 旅行会社などが航空機を借り切るチャーター便旅行が人気だ。地方空港の定期便の減少や航空機の小型化を受け、逆に不足感の出てきた座席を補う意味でチャーター便が増えているのだ。旅行会社が座席を買い取るため搭乗率次第で採算割れのリスクはあるが、利用者には目的地へ直行できる利便性が受けている。インバウンド(訪日外国人客)の急増の影響で「日本人旅客の座席を確保する取り組み」(旅行会社)という側面もあるという。(田村慶子)

 減らした分を補う?

 「乗り継ぎに比べ大幅に時間を省けるうえ、定期便がなく観光客が行きづらかった目的地へのチャーター便も組める」

 旅行会社の担当者らは、チャーター便の利点についてこう口をそろえる。

 その上で「地方空港発なら、なおさらメリットを感じてもらえるはずだ」と需要創出に期待を寄せる。

 スイス、アラスカ、クロアチア-。チャーター便を使った海外旅行では、普段なかなか足を延ばせない欧州や北米が人気だ。

 通常の乗り継ぎなら半日以上を費やす飛行時間が半分以下に短縮できるものもある。移動の負担を抑えつつ、希少性の高い旅を楽しめるとして旅慣れた中高年世代らの人気を集めているのだ。

 チャーター便は旅行会社などが航空機を借り切って運航する。旅行会社などが単独、あるいは共同で座席を買い取る形式がある。ハワイやサイパン方面などの繁忙期に飛ばす臨時便の一部の座席を旅行会社が買い取る形式も増えているようだ。

 そもそもなぜチャーター便がこれほど広がっているのか。背景には航空業界が経営効率を高めようと、採算性を重視した運航形態に変えていることがある。搭乗率の低い地方空港の定期便を減らす一方で、燃費が高く空席の出がちな大型機から小型機へのシフトが進んでいる。この影響で不足感が出だした座席を補うためチャーター便が増えたといえる。

 JTB西日本は平成27年度の関西発チャーター便が25年度の約1・5倍に拡大しており、今夏もスイスやクロアチア方面を強化している。

 阪急交通社も28年度の関西発チャーター便を前年度比で3倍超にする計画だ。集客数も同約9割増を見込む。近畿日本ツーリストやクラブツーリズムでも、サイパンやスイスなど「海外チャーター便の予約が好調だ」(いずれも広報担当者)という。

 愛犬同伴プランも

 今年は国内チャーター便プランの投入も活発だ。

 阪急交通社やJTB西日本は今年、関西国際空港から北海道の利尻島や礼文島へのチャーター便を相次いで発売した。阪急交通社の広報担当者は「訪日外国人客が増えるなか、日本人客の座席を確保するための取り組みでもある」と話す。

 全日本空輸は成田と釧路(北海道)を結ぶチャーター便で、国内初となる愛犬を客席に同伴できるプランを3月に発売し、2日で完売した。これまではペットを客席に持ち込むのは他の客との兼ね合いなどで難しかった。「遠隔地を結ぶだけでなく、こうした特定の条件を設けられるのもチャーター便の利点」(広報担当者)と話しており、好調な海外線に加え、工夫次第で国内線も拡大できるとみる。

 地方観光の盛り上げ役

 国内チャーター便事業で急速に存在感を高めている航空会社が「フジドリームエアラインズ」(FDA、静岡市)だ。

 旅行各社がFDA機のチャーター便プランを増やしており、FDAの27年度のチャーター便は片道で1049便と、23年度の約8倍に急増している。需要の高まりを受け、FDAは3月、6月と今年は計2機の旅客機を導入する。さらに時期未定ながら、追加で3機を検討している。

 夏は北海道の稚内に根室、秋や冬は島根県の隠岐の島や鹿児島県の種子島などの旅が人気だという。

 FDAの担当者は「地方空港同士を結ぶことで発着地両方の需要を創造することができる」と説明。地方観光の盛り上げ役としても、チャーター便の存在が高まりそうだ。