エチレン生産、縮小続く 供給過剰慢性化、もう一段再編予測も
国内の石油化学業界で、プラスチックや合成繊維の原料であるエチレンの生産縮小が続いている。製造拠点の海外移転や人口減少で需要が細り、慢性的な供給過剰になっているためだ。円安による輸出増加で一息ついたが、需給バランスの回復には焼け石に水。生産縮小への一段の設備再編も見込まれる。
出光興産が千葉県市原市で運営する石油化学コンビナート。約382万平方メートルの広大な敷地に高さ約70メートルの蒸留塔や銀色のパイプが視界いっぱいに広がり、年間37万4000トンの生産能力があるエチレン製造設備は、ほぼフル稼働していた。
石油化学工業協会によると、国内のエチレン生産設備の稼働率は3月には28カ月連続の90%超えとなった。輸出が伸びていることが最大の要因だが、国内の需要は逆に減少傾向にある。
エチレンの内需は1997年にはピークの596万トンを記録したが、その後は減少している。2015年の国内需給をみると、生産量が688万トンだったのに対して、内需は494万トンにすぎない。200万トン近くが輸出に回った計算だ。
国際競争は激しさを増しており、円ドル相場が円高に進めば一気に価格競争力を失い、減産を迫られることになる。石油化学大手の幹部は「業績や事業環境が好調なうちに、次の一手を考えないといけない」と危機感を強める。
石油化学各社はこれまでも生産能力を削減してきた。旭化成は岡山県倉敷市の水島コンビナートの設備1基を今年2月に停止した。三菱化学は14年に茨城県で1基止め、住友化学は15年に国内生産から撤退した。
それでも状況は厳しい。18年には米国のシェールガスを原料にした安いエチレンが市場に出回る見通しだ。巨大国際企業のダウ・ケミカルとデュポンは合併で合意し、競争力のさらなる強化を狙っている。経済産業省はエチレンの国内生産が20年には2割程度の供給過剰になると分析。出光興産の幹部は「今のエチレン設備は最終形ではない。もう一段(再編の)動きがあるだろう」と予測した。
関連記事