東急ステイサービス、地方都市に進出 滞在型ホテルで訪日客取り込み
滞在型ホテル「東急ステイ」シリーズを展開する東急ステイサービスは、地方の主要都市に進出する。これまでは東京23区内に限定して事業を進めてきたが、訪日外国人旅行者の数が急増している点を考慮。東京以外でも展開することにより、地方で深刻化するとみられる宿泊施設の不足問題に対応する。事業を進める上で重要な役割を果たすとみられるのが、3月に開設した同シリーズの旗艦店「東京ステイ銀座」だ。
東急ステイが主要ターゲットとしているのが、出張や研修、旅行などで活用する中長期滞在客。顧客の要望を踏まえ洗濯乾燥機や電子レンジ、ミニキッチンなどを客室内に設置している点を売り物としている。
現在は都内17カ所でホテルを運営しているが、場所によっては外国人比率が高まっている。例えば昨年に開設した新宿店。他店の比率は約3割だが新宿は6割に達している。また、外国人のうち3分の2が2泊以上連泊して利用していることから、東急ステイ型のホテルに対するニーズが高いと判断。東京以外のエリアへ進出することを検討し始めた。
同社にとって最新のホテルが「東急ステイ銀座」。同ホテルでは外国人旅行者の利用率が年平均で5割に達すると予測しており、旅行者の快適性が増すような工夫を凝らしている。
ハード面では、5タイプある客室を広めにすることで、101室の全部屋で2人以上が宿泊できるようにした。
ソフト面では、外国人旅行者とのコミュニケーションを円滑にする多言語(英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語)通訳サービス「おもてなしコール」を導入。テレビ電話機能により端末画面に通訳者が現れ、フェースtoフェースで三者間通訳を行う。旅行者の微妙なニュアンスや表情をとらえた上で、さまざまなニーズに対応できるようにしたため「込み入った話が行えるようになった」(高谷昌吾社長)点が売り物だ。
1階ロビーではチェックインした後に入浴剤など約30種類のアメニティーを自由に選べる「アメニティブッフェ」サービスを導入。日本のおもてなしを訴求する。また、人気観光地の外国語パンフレットも充実させた。
地方への具体的な出店計画はまだ固まっていないが、東京ステイ銀座の運営ノウハウなどを反映、顧客ニーズの多様化に対応していくとみられる。(伊藤俊祐)
◇
【会社概要】東急ステイサービス
▽本社=東京都渋谷区道玄坂1-10-5 渋谷プレイス4階
▽設立=1997年9月
▽資本金=1000万円
▽従業員=293人
▽事業内容=東急ステイの運営
関連記事