トリニティ・ケア、有料老人ホーム第1弾 利用者の生活に合わせ介護

 
座った姿勢で入浴できる浴室。利用者の状態や生活リズムに介護側が合わせるスタイルが売り物だ=東京都杉並区

 介護施設運営会社のトリニティ・ケアは、第1弾となる介護付き有料老人ホーム「Brand New(ブランニュー)杉並高井戸」(東京都杉並区)の運営を開始した。同社はミサワホームと三菱UFJリースの共同出資会社。今後は大都市圏を中心に、企業の遊休地や個人の土地などを活用して「ブランニュー」というブランドで事業を展開し「都市部の地域包括ケアのモデルとして、地域の安全・安心に寄与していく」(トリニティ・ケアの南谷和秀社長)考えだ。

 ミサワホームグループは介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅を運営。関連施設の設計施工も数多く手掛けている。一方、三菱UFJリースは新たなビジネスモデルの構築を重点課題として掲げており、高齢化関連事業に着目。さまざまなビジネスモデルを蓄積しているミサワと組んで新会社を設立、本格展開することにした。 三菱UFJリースが土地情報を提供し、ミサワホームが介護施設を建築する体制で事業を進める。

 開設した施設のコンセプトは「あたらしい あなたらしい 住まい」。できるだけ自宅と変わらない生活リズムで暮らせる住まいを提供する。

 入居者に対する介護スタッフは1人に対して1.5人と基準の2倍体制で配置。介護度の高い人や認知症の人を積極的に受け入れて、利用者の生活リズムに介護側が合わせるスタイルのサービスを提供する。

 また、「誕生日に思い出の場所で食事をしたい」「日帰り旅行したい」といった入居者の願いをかなえる「あなた専用の日」を用意。クラブ活動も充実させることによって、入居者の生活意欲の向上を図る。

 医療協力体制については、認知症研究に力を入れる浴風会病院(杉並区)と連携。同病院の医師が受診を希望する入居者への定期的な診察を行うほか、入居者の健康管理上の助言・指導を介護スタッフに行い、日々のケアに反映できるようにする。また、同病院の医師を招いたセミナーを行うなど、地域住民と認知症介護について考える場を積極的に設ける。

 建物は2階建てで延べ床面積は約1300平方メートル。33室(全室個室で広さは18平方メートル)によって構成されている。外観については、周囲の街並みに調和するように植栽も含めた柔らかなデザインを取り入れた。

 ベッドには、「眠りSCAN」という睡眠状態を評価するシステムを装備しており、ストレスなく眠りや起床、離床を把握し見守りに反映できるほか家族も状況を把握できる。また、居住者の安全性を高めるため、特殊なクッション層によって滑りにくく、転倒しても適度に衝撃を吸収する床材を採用した。

 トリニティ・ケアの企業理念は「人としての尊厳を尊重し心に寄り添う介護を」。南谷社長は「今回の事業を通じ、この理念を実践していきたい」と意気込んでいる。(伊藤俊祐)

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【会社概要】トリニティ・ケア

 ▽本社=東京都新宿区西新宿2-4-1

 ▽設立=2014年4月

 ▽資本金=7500万円

 ▽事業内容=高齢者施設の運営