ファストファッション業界は曲がり角 オールドネイビー撤退、ユニクロ苦戦

 
日本からの撤退を決めたオールドネイビーの吉祥寺の店舗=20日、東京都武蔵野市

 米カジュアル衣料品店大手ギャップが低価格業態「オールドネイビー」の日本撤退を決めた。インターネット通販の台頭や競争激化などを背景に、ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」も価格戦略の見直しを余儀なくされ、ファストファッション業界は曲がり角を迎えている。

 オールドネイビーは2012年、日本1号店を開店。乳幼児向けも豊富で、低予算で家族全員の服がそろえられるのを売りに、今年5月時点で商業施設を中心に全国53店舗に拡大していた。

 だが、同じ外資系で流行により敏感な「ZARA」や「H&M」と競合し、集客が伸び悩んだ。ブランド力の向上を目指して、初の独立店舗として昨年4月に開業した吉祥寺店(東京都武蔵野市)も、1年余りで撤退の判断が下った。

 苦戦の背景には、ネット通販サイトの利用者拡大もある。難点だった配送や返品のサービスも改善が進んだ。代表格はスタートトゥデイが運営する「ゾゾタウン」で、2800以上の大手ブランドの商品が手軽に買えるとして急成長している。

 ファストファッションのブームを牽引(けんいん)してきたユニクロは、円安などを受けて断行した値上げが裏目に出て、業績が落ち込んだ。ファストリの柳井正会長兼社長は「今の時代は価格と品質、ファッション性すべてが両立しないといけない」と反省を口にし、再び低価格にこだわる姿勢を鮮明にした。

 業績不振に陥っていた「ライトオン」は、プライベートブランド偏重を改めた。どうしてもデザインが他社と似通い、顧客離れにつながったと考えたためだ。本来の強みだった国内メーカーのジーンズの品ぞろえを充実させた効果が出て、売上高は昨年2月以降、前年同月を上回っている。