日産、ゴーン流で再び“系列破壊” 世界3強との頂上決戦に備え改革着手
日産自動車のカルロス・ゴーン社長の経営改革が最終局面に突入した。10月には三菱自動車を事実上の傘下に収め、「量的」拡大で世界販売4位のルノー・日産連合を3位以内に導きたい考え。さらに電気自動車(EV)や自動運転など次世代技術の進化に「質的」対応を図るため、系列部品会社との関係の見直しに着手するなど、電光石火の改革で世界最強グループの形成を目指す。
ゴーン社長の経営の神髄は「新たな価値への挑戦」「リスクを取る」「脱自前主義」の3つの哲学だといわれる。燃費不正問題で揺れる三菱自と資本業務提携するのは、まさに世界販売の拡大という新たな価値を得るためにリスクを取るという判断にほかならない。
もう一つの哲学である脱自前主義は、ゴーン社長が仏ルノーから日産に乗り込んだ1990年代後半からの“系列破壊”の調達改革という形で実践した。割高でも系列会社から一定量を買う取引を見直し、競争原理を取り入れることで危機的な状況にあった日産をよみがえらせた。
最近でこそ、円安の進展などで系列を見直す動きは止まっていたが、ここにきて、再び日産が動いた。系列の自動車部品大手カルソニックカンセイの保有全株式を売却する検討に入ったのだ。
日産は24日発表のコメントで「カルソニックカンセイの競争力向上につながるようなさまざまな選択肢を考慮し検討する」とした。
この背景には業界を取り巻く構造変化がある。世界的な環境意識の高まりで、環境に優しいEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の普及は急速に進む。自動運転など先端安全技術をめぐる世界競争も急だ。系列にとらわれていては変化に機動的に対応するのは難しく、一段の調達改革の断行が避けられないと判断した。
日産はカルソニックカンセイ株の売却で得られる1000億円程度の資金を主に先端技術の投資に振り向ける考え。事業再編を巧みに駆使し、販売と技術の両面でトヨタ自動車、独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラルモーターズ(GM)の世界3強との頂上決戦に備える。(今井裕治)
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