「ユニクロ」セール減らし低価格へ 戦略見直し、客離れに歯止めを
柳井正会長兼社長
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は25日、「付加価値のある商品を低価格で売る」と述べ、価格戦略を見直し、2014年以降の値上げで進んだ客離れに歯止めをかける考えを示した。都内で記者団に答えた。今年の秋冬物の一部を昨年から300~1000円程度引き下げるとみられ、価格を低く抑えて収益の改善につなげる方針だ。
「失敗すればするほど成長する」。同日、秋冬物の展示会に併せて開かれた記者会見で、柳井会長はこう強調してみせた。 ユニクロは円安や原材料価格の高騰などを背景に、14年秋冬物で平均5%、15年も一部で10%値上げした。ところが値上げと歩調を合わせるように客数が減少。15年6~12月に7カ月連続で前年実績を下回った。
客離れを受けファーストリテイリングは4月、16年8月期の最終利益予想を従来比で500億円も下方修正し、前期比45%減の600億円とした。柳井会長は業績不振の原因を「景気や天候ではなく、(価格など)内部的な要因だ」と述べ、戦略ミスを認めた。
業績を立て直すため、ユニクロは今年2月、一部商品を値下げした。
柳井会長は定期的に行っていたセールに関しても「最初から安いほうがよい」と指摘し、セールを減らす代わりに通常の価格を低く抑える考えを示した。
ただ、4月の国内既存店客数は7.2%減と3カ月連続でマイナスとなり、価格戦略の見直し効果は今のところ限定的だ。低価格と高付加価値の両立による“値ごろ感”が浸透し客足が戻るには、しばらく時間がかかりそうだ。
関連記事