電気の買い方・売り方いろいろ エネルギー業界の自由競争、これからが本番

 
中小スーパーチェーンを取り次ぎ窓口とした「スマ電」を店頭でPR=京都市左京区の「生鮮館なかむら」里の前店

 4月にスタートした電力小売り全面自由化。家庭も電力会社を自由に選べるようになり、電気の買い方、売り方にもバリエーションが出てきた。電力業界に新規参入した企業「新電力」の中には、スーパーマーケットの窓口で契約すれば特典でたまご1パックを進呈するところもある。また、太陽光など“再生エネ”を売りにイメージアップを図る会社も。来年度には都市ガスの小売り全面自由化が迫り、エネルギー業界を取り巻く自由競争はこれからが本番だ。(藤谷茂樹)

 特典はたまごパック

 携帯電話ショップ、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア…。電力小売り自由化によって最も変わったのは、町中のさまざまな場所で電気の契約ができるようになったことだろう。

 そんななか、家庭と身近なスーパーマーケットに着目した企業もある。アイ・グリッド・ソリューションズ(東京)だ。地域密着型の中小スーパーチェーンの店舗に取り次ぎ窓口を置いてもらい、電力販売「スマ電」を展開している。

 今のところ関西では「生鮮館なかむら」、「ボトルワールドOK」、「にしがき」などがスマ電に参加。新規契約者への特典も、たまご1パックなど生鮮スーパーならではのプレゼントだ。

 アイ・グリッド・ソリューションズはこれまで主に事業者向けに節電コンサルティングを手掛けてきた。秋田智一エネルギー・プラットフォーム事業本部長は「これまで一般消費者との接点を持ち得ない事業だったが、スーパーに補完してもらう」とねらいを説明する。

 販売取り次ぎを担うのは同社が節電コンサルタントをしてきたスーパーだ。両社の関係性を深めるとともに、電力販売でスーパーと顧客とのつながりも強めることにもなる。

 スーパーではほかにも、滋賀県を中心にチェーン展開する平和堂が電力小売りに乗り出すなど、流通業界でも“安売り”競争も始まっている。

 再エネと“産地表示”

 電気の品質は、どこから買ったとしても一定で、違いはまったくない。それならばと“産地表示”で違いを演出するケースも出てきた。新電力の中には、再生可能エネルギー利用に力を入れ、供給する電力の電源構成を積極的に開示している会社もあるのだ。

 NTT西日本の子会社、NTTスマイルエナジー(大阪市)は、新電力最大手のエネット(東京)の電力を取り次ぐ形で電力販売サービス「太陽のでんき」を展開する。

 NTTスマイルエナジーが提供する太陽光パネルの遠隔監視サービスの利用者限定だが、午前8時~午後4時は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を利用した電気を供給する内容だ。同社の担当者は「太陽光を利用する人は環境に対する意識も高く、その要望に応じたサービスにした」と説明する。

 また、ソフトバンクは東京電力と提携し電力販売を展開する一方、自社グループ会社を通じて再エネの比率が高い「FITでんきプラン」も提供する。このプランの営業エリアは東電と北海道電力管内のみだが、全国25カ所、出力約26万キロワットの太陽光発電を稼働させていることを背景に、供給する電気の57%をFITでまかなうとしている。

 太陽光発電の設置を手がけてきたLooop(ループ、東京)も1キロワット時あたりの単価を26円に固定した料金プランを東京、中部、関西の3電力管内で提供。そのなかでFIT利用の電気を2割使い、再エネを活用する方針を示している。

 行方はガスが握る

 新電力の攻勢を受ける関西電力。大津地裁の仮処分決定を受け、高浜原発3、4号機(福井県)が停止し、電気料金値下げも遠のいている。

 そんな中、「窓ガラスが割れた」「自宅の鍵を紛失した」といったトラブル発生時の緊急駆けつけサービスや、優待サービスの拡充などで対抗しようとしている。そして、そうしたサービスをまとめたPRポスターで、マスコットキャラクター「はぴ太」が、こんなセリフをつぶやいている。

 「来年4月からガス販売の検討を進めています」

 来春の都市ガスの小売り全面自由化を見据え、関電は早くも家庭向けのガス販売に意欲を見せていた。

 実際、関電はすでに企業向けにガスを販売を行い、平成27年度の販売量は72万トンにのぼる。4月28日に発表した中期経営計画ではガス販売を経営の柱の1つに据え、10年後には27年度の2倍以上の170万トンまで販売量を拡大することを掲げた。ガス事業本部も新たに設けた。

 八木誠社長は「(ガスの自由化という)新たな成長に向けたチャンスを生かしていく」と強調する。ガス販売では、電力自由化で守勢に回っている関電の巻き返し策になるのか。