大手電力、首都圏販売で苦戦 関電も7月参入 東ガスなどのリード崩せるか

 

 関西電力は30日、7月から首都圏で家庭用電力販売を始める、と発表した。4月の電力小売りの全面自由化に合わせて参入した新規事業者などと同じく、料金を東京電力ホールディングス(HD)の従来プランより安くした。首都圏に越境参入する大手電力は関電で7社目になるが、先行6社の獲得契約件数は多くて数百件。30万件を突破した東京ガスなど有力新電力に大きく水をあけられている。東電HDに次ぐ業界2位の関電だが、首都圏の戦いで存在感を示せるかは楽観できない。

 提携で弱点補強

 関電の首都圏向けプラン「はぴeプラス」は、電気使用量が多い家庭を主な対象に販売する。モデルケースでは、契約電流が40アンペアで、月間使用量が400キロワット時の場合、東電HDの従来料金より年4%お得になる。ポイントサービスを導入するほか、水まわりや玄関の鍵の紛失などのトラブルに対応する生活支援サービスを提供する。

 首都圏に営業基盤がない関電は、家電量販店大手の上新電機など異業種3社と提携して弱点を補強し、「3年で10万件の契約獲得を目指す」(八木誠社長)。首都圏プランは全面自由化から2カ月遅れの6月1日から自社のホームページなどで事前受け付けを始める。

 強固な営業基盤

 首都圏は国内電力需要の3割を占める最大消費地。人口減により地方の電力需要は先細りが見込まれるだけに、地方の大手電力にとって、需要の伸びが期待できる首都圏市場は魅力だ。

 自由化で大手電力の地域独占が撤廃されて越境販売が可能になった4月以降、東北、中部、北陸、中国、四国、九州の大手6社が首都圏に参入した。

 6社は、割安さに加え、地域の特色などを打ち出した「郷土愛」に訴えるサービスも展開する。

 各社とも、地元出身者が集まりそうな場所でのチラシ配布など地道な営業努力を続けるが、獲得契約件数は、首都圏で強固な営業基盤を持つ東ガス、JXエネルギーなど都市ガスや石油元売りに到底及ばない。

 今年度1万件を目標に掲げた九電は子会社を通じて販売し4月22日時点で約500件、北陸電が同25日時点で340件、中国電は同25日時点で100件強だった。東北電は5月20日時点で約60件と軒並み振るわない。

 目標を「早期に10万件」と設定した中部電と、四電に至っては足元の件数を公表していない。事業規模を背景に越境販売の大本命とされる関電も、苦戦を強いられそうな情勢だ。(佐藤克史)

                  ◇

 ■越境販売する主な大手電力の首都圏プラン

 ◆東北電力「よりそう、でんき」

  契約容量30アンペアで月間使用量が300キロワット時の場合→年約2300円安。東北6県と新潟の特産品との交換や復興支援に活用できるポイントサービスも展開

 ◆中部電力「カテエネプラン」

  2世帯住宅で暮らす大家族の場合(150アンペア、月間使用量970キロワット時)→年1万6764円安。商品交換のほか、電気料金にも充当できるポイントサービスを導入

 ◆関西電力「はぴeプラス」

  40アンペア、月間使用量が400キロワット時の場合→年約4800円安。水まわりのトラブル対応など生活支援サービスを展開 ※東京電力ホールディングスの従来料金と比較