榊原会長「まず需要拡大を」 きょう経団連総会

 
経団連の榊原定征会長

 経団連の榊原定征会長が、2日に開催される定時総会で就任から3年目を迎え、原則2期4年の任期を折り返す。これまでに安倍晋三政権との関係強化に取り組み、経済界の念願だった法人実効税率20%台実現などの成果を挙げた。だが足元の景気は低迷し消費税増税の再延期も決定するなど課題は山積。1日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じた榊原会長は、日本経済の再生へ「まず需要の拡大が重要だ」と強調した。

 榊原会長は就任からの2年間について「豊かな活力のある日本の再生に向け、経済界の立場で日本の国益を踏まえた政策提言に取り組んだ。国民からの経団連に対する期待は大きくなっている」と振り返った。

 低迷する国内経済については、需要拡大に向け「カンフル剤的(一時的)な施策ではなく、持続的な成長をもたらすようなもの、成長につながるような取り組みが欠かせない」と、政府に注文。「思い切った財政出動」を求めた。同時に成長戦略として、近く閣議決定される「日本再興戦略2016」であげた第4次産業革命など重点10項目について、「官民挙げての取り組みが必要」と訴えた。

 経団連と安倍政権は、米倉弘昌前会長時代に経済政策をめぐっての意見が対立し、関係が悪化。就任時から関係改善に奔走した榊原氏は「重要政策の実現には政権との連携強化が必要だ。政権と経済界が車の両輪となって最優先課題のデフレ脱却を進めなくてはならない」と、政権とのさらなる一体感醸成に取り組む方針を示した。

 だが、経団連をはじめ経済界が求めてきた消費税率の予定通りの引き上げは「高度な政治判断」によって再延期された。政権への影響力をさらに強めるためにも、残りの任期で経済再生をリードする民間の実行力を示すことが、榊原経団連に求められそうだ。(平尾孝)