日本の素材各社、メキシコ進出続々 自動車生産拡大、旭硝子や神鋼が新工場

 
4月に竣工式を行った旭硝子のメキシコ工場=サン・ルイス・ポトシ州

 素材各社がメキシコ進出を加速している。現地で自動車生産が拡大しているのに対応するためで、昨年後半から今年前半にかけて旭硝子や神戸製鋼所が新工場を構えたほか、旭化成も現地生産を視野に入れる。メキシコは自動車の主要マーケットである米国に近く、人件費が格段に安いうえに、北米自由貿易協定(NAFTA)に基づき米国に無関税で輸出でき、自由貿易協定(FTA)を締結した他の国への輸出拠点としても魅力を高めている。産業集積は今後も進む見通しで、部品などを含む日本メーカーの進出は続きそうだ。

 旭硝子は、メキシコ中部に約50億円をかけて自動車用ガラスの新工場を建設。昨年秋に生産を始め、今年4月には竣工(しゅんこう)式も行った。年間生産能力は75万台分で、米国にある2工場との合計では、2割ほど生産能力が増えたことになる。

 同社はメキシコ国内の需要をにらみ、1998年に自動車用ガラスの生産を始めたが、予想ほど需要が伸びず、2006年に一時撤退した。島村琢哉社長は「今回は実際に自動車メーカーが進出している。可能性は大きい」と話し、150万台分への能力増強も視野に入れる。

 化学では、三井化学が韓国の石油化学大手、SKCとの折半出資会社を通じ、約10億円を投じて自動車用シートに使うウレタンの生産拠点を4月末に構えた。同社は、バンパーなどの材料となるポリプロピレン(PP)コンパウンドについても、米国、インドとともにメキシコの拠点増強を予定する。化学大手では、旭化成も現地法人を設立し、エンジン部材などに使う樹脂コンパウンドの販売を昨年秋に開始。今後は現地生産も検討する方針だ。

 一方、鉄鋼メーカーもメキシコを有望視している。神戸製鋼所は、神鋼商事などと約43億円をかけてボルトやナットの材料となる線材の2次加工拠点を構え、今年から稼働させた。JFEホールディングス(HD)傘下のJFEスチールは、自動車用鋼板の合弁生産について可能性を探っており、JFEHDの林田英治社長は「(進出決定まで)時間はかからないと思う」と語る。

 メキシコでは、15年に過去最高となる約340万台の自動車を生産(大型バス・トラックを除く)。20年には500万台まで増えるとの予測もある。日産自動車・仏ルノー連合が17年に独ダイムラーとの合弁工場を稼働させるほか、トヨタ自動車は19年に新工場を建設するなど、日系自動車メーカーも進出を加速している。