日産、韓国の排ガス不正認定に徹底抗戦「あらゆる法令と規則守っている」 行政訴訟を検討へ

 

 韓国環境省の不正認定を全面否定している日産自動車は7日、同国に改めて異議を申し立てた上で、認められなければ不正認定の取り消しを求める行政訴訟を検討する方針を明らかにした。一方、韓国側から命じられた対象車両のリコール(回収・無償修理)と販売禁止、課徴金の支払いにはひとまず応じるが、不正認定が取り消されれば課徴金支払い命令の無効を求める訴訟も起こす方針。

 日産幹部が同日夜、明らかにした。日産は7日発表の声明で「あらゆる法令や規制を守っている」として不正を全面否定。その理由として、キャシュカイが韓国の規制でも認める、欧州の最も厳しい排ガス規制「ユーロ6」の適合を得ていることを挙げ「韓国政府から輸入販売の認可を昨年取得している」とした。

 日産は、韓国政府に対し90日以内に異議申し立てが行えるが、韓国政府が不正認定を取り消さなければ、行政訴訟に踏み切る構えだ。日産の韓国国内の販売台数は6千台弱と世界全体の0・1%。仮にキャシュカイ以外の販売が全面停止になっても影響は軽微だ。ただ、韓国で不正認定されたままだと、ブランドに響く恐れがあり、不正認定には徹底抗戦する。

 一方で、日産は問題が指摘された対象車両の販売禁止と排ガスを減らすためのリコール、課徴金の支払いには応じる。日産は7日の声明で対象車両の販売をすでに休止したと表明。また「実走行環境で窒素酸化物(NOx)を減らす技術的な改良の用意があると韓国側に伝えた」とし、リコールを通じ排ガス低減への対応を進める。課徴金は異議申し立てや行政訴訟で不正認定が取り消されれば全額返還を求める。

 今回の問題は、そもそもドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正発覚を受け、韓国政府が他社車両を検査する中で浮上した。キャシュカイにはエンジンが壊れるのを防ぐため、一定温度になると排ガス低減装置が止まる合法の装置が載っている。各社車両にも搭載されるが、キャシュカイは停止温度が35度と最も低かった。