本当にスズキは集団指導体制に移行? 鈴木親子のトップは不変
鈴木修会長がCEO返上スズキの鈴木修会長は8日の記者会見で、最高経営責任者(CEO)を退くにあたり、今回の燃費不正問題を契機に集団指導体制へ移行していくことを強調した。しかし、燃費不正の責任を取り技術トップの副社長が退任を迫られる中、鈴木会長と鈴木俊宏社長の親子はトップに居座り続けることから、鈴木会長の“ワンマン”体制は続くとの見方もあり、批判の高まりは避けられない。(今井裕治)
「燃費不正は私がCEO時代に起きた問題なので、逃げるのでなく、会長を続けようと考えた」
鈴木会長は記者会見で、代表権を持つ会長を続ける理由をこう強弁した。不正問題の再発防止を含め体制の見直しに道筋がつくまでが責任と判断したという。
だが、経営トップとして不正問題を見抜けなかった責任が鈴木親子にはある。
燃費不正問題が発覚した三菱自動車では、技術トップの中尾龍吾副社長に加え、相川哲郎社長も引責辞任することを決めた。通常の企業であれば、不正が発覚した場合、トップが引責辞任することが多い。
これに対しスズキの場合、今回の問題で退任するのは技術担当の本田治副社長だけだ。創業一族の鈴木親子は守られ、「とかげのしっぽ切り」をしたとの批判が高まりかねない。
スズキはこれまで、鈴木会長の強いリーダーシップで成長を続けてきた。ただ、企業規模が拡大するにつれ、会長一人で会社のすべての業務に目を配ることが難しくなってきた。鈴木会長も「結果的に燃費不正問題が出たのもその表れだ」と非を認めた。
鈴木会長は今後の経営判断について「次のCEOの決定に従う」とした。また「合議制のチームでやる」とも述べ、集団指導体制に移行する考えを示した。
それでも、昭和53年からトップに君臨し続けたカリスマ会長の影響力は、容易に抜けきれるものではない。経営刷新に向け“脱・修”が大きなテーマになるのは間違いない。
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