新電力、節電特典で顧客獲得狙う スーパー来店・猛暑日乗車にポイント
新電力の一部が節電特典を打ち出し、夏の電力最需要期に向けて顧客の囲い込みに力を入れている。電力小売りの全面自由化が始まり2カ月半がたつが、全国で契約を切り替えた世帯は総契約数のわずか約1.8%にとどまる。新規参入キャンペーンもほぼ終わり契約件数の伸びが鈍くなる中、引き続き家庭の関心を引き寄せるためには次の一手が欠かせない。そこで、新電力は節電の定着に目をつけた特典を起爆剤に、一層の切り替え促進に取り組む。
新電力ベンチャーのアイ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区)は、電力需要が増える夏の昼間に家庭向け電力販売で提携するスーパーマーケットに来店すると特典を付与するサービスを始める。
電力需要が急増し、卸電力市場で電力調達価格の高騰が見込まれる場合、顧客にメールを送信。指定した時間にスーパーに行くと、スーパーのポイントや5回の来店でたまご1パックがもらえる特典を提供する。節電意識の高い消費者に来店を促すとともに、電力調達量を抑え原価の高騰を防ぐ狙いもある。
電力販売の窓口になっている首都圏、中部圏、関西圏の提携先スーパー7社300店舗(13都府県)で、8月から9月まで実施する。獲得契約件数とほぼ同じ5000世帯の利用を見込んでいる。
こうした節電と消費行動を組み合わせた顧客獲得の取り組みは、新電力では東京急行電鉄子会社の東急パワーサプライ(東京都世田谷区)も7月から始める。同社から電力を購入している顧客を対象に、最高気温35度以上の「猛暑日」に東急線に乗ると、系列の商業施設などで使えるポイントを付与するサービスを展開する。
気象庁が午前11時に発表する翌日の天気予報で、東京地方か神奈川県東部の予想最高気温が35度以上だった場合に、翌日の午前10時から午後4時までに東急線に乗車した人が対象となる。交通系のICカード「PASMO(パスモ)」を使って改札をくぐると、ポイントが自動的に加算される仕組みだ。
同社が獲得した契約件数は4万5000件を超えた。今年度は10万件を目標にしているが、日を追うごとに消費者の関心が薄れ伸びが鈍化しているという。担当者は「節電特典で目新しさを加え、切り替え需要を再度喚起したい」と話している。(佐藤克史)
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