関電は収益改善に期待 電力各社、迅速審査求める声も

高浜原発の延長認可

 原子力規制委員会が20日、関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)の運転延長を認めたことで、関電は今後の収益改善が期待できる。同様に、高経年原発を抱える他の大手電力の経営にも追い風だ。原発の新増設が難しい社会情勢を踏まえ、大手電力各社は高経年原発の運転延長に取り組む構えだ。

 「原発は経済性のある電源。安全確認できた40年超の原発の活用も必要だ」

 関電の八木誠社長は再三、こう主張してきた。関電は平成28年3月期連結決算で5年ぶりの最終黒字に転換したが、石油や液化天然ガス(LNG)価格の下落による部分が大きい。

 高浜1、2号機が再稼働すれば、年間約1100億円の利益押し上げ効果が見込めるという。業績改善への期待は大きく、関電は美浜3号機(福井県)の運転延長も目指す構えだ。

 関電を始め東京電力ホールディングス、東北電力、四国電力、九州電力などは稼働から30年超の原発を抱えている。各社は今後数年以内に、運転延長か廃炉かの判断を迫られるが、原発の新設や増設が難しい中で、既存原発を当面残したいというのが本音だ。

 電力小売りが全面自由化され、新電力各社との競争にさらされる大手電力にとって、既存原発の早期再稼働は欠かせない。ただ、認可を受けた高浜1、2号機の再稼働は早くとも3年半後となる見通しだ。電力各社からは、さらに迅速な審査を求める声が高まりそうだ。(佐藤克史)