「稲盛さんのような有能な人を役員に呼ばないのか」 株主から次々と厳しい質問

株主総会詳報・東芝(1)
東芝の株主総会に向かう株主ら=22日午前、東京都墨田区

 不正会計で経営再建中の東芝は22日、東京都墨田区の両国国技館で定時株主総会を開催した。小雨が降る中、多くの株主が足早に会場に入っていった。株主総会では、資本金の原資や相談役の廃止、綱川智副社長の社長昇格など取締役10人の選任が諮られる。

 午前10時、室町正志社長が株主に向けて「この1年間、ご迷惑ご心配をかけて配当金も見送り、申し訳ない。このような事態にもかかわらず、株主から支援をいただき、感謝している」と冒頭にあいさつした。

 続けて、「事業構造改革の一定のめどがたち、私は本日付きで社長、取締役を退任する。株主総会の終了後には綱川智副社長が社長に昇格する」と語った。

 その後、室町社長は2015年度の事業報告、16年度の取り組みを説明した。

 午前10時57分。株主との質疑応答が始まった。

 株主 「かつて松下電器では社長にもノーが言えるように、トップが経理が自由にやらせろと言った。私は東芝ケミカルで経理を行っていたが、その後、京セラに売られた。稲盛さんのもとへ行き、黒字になった。東芝は不正会計を防止するため、監査法人を替えたが、それで経理を強くする体制は作れるのか。稲盛さんのような外部の有能な人を呼ばないのか」

 室町社長「経理、財務の独立性の担保。けん制機能は大幅に強化している。従来は最高財務責任者(CFO)の任命権は社長だったが、すべて社外取締役で構成する指名委員会が行っている。社長はCFOを簡単に解任できない。直接的にカンパニー社長と経理の間には指示系統がないようにした。今回の構造改革で財務の独立性は十分に構築できた。また、取締役の選任は指名委員会で行っており、役員の選任権は指名委員会で議論して選定される。社外の有力な方の登用もあると認識している。今回は社内からだが、社外からの検討もした結果だ」

 株主 「不正会計問題はカンパニー制が温床になったという一部の声もある。なぜ、あえてカンパニー制を維持するのか」

 室町社長 「問題はカンパニーとコーポレートのさまざまな状況で、経営トップが無理な要求、チャレンジを行った結果、不正会計処理を行った。カンパニー制自体が不正会計を起こしたのではない。むしろ、カンパニーに自主自立の経営を行ってもらい、プロアクティブな経営体制にした方が良い方向へ行く。資本政策上、さまざまな経営を考える上で、今回、縮小して4カンパニー制にした」

 株主 「不正会計問題は刑事訴訟になるのか。室町さんは一生懸命に良くやっている。3悪人の田中前社長なんて、舛添知事を思い出す。東芝はオリンパスのようになるのではないか」

 室町社長 「刑事訴追に言及する立場にはない」

 株主 「今回の取締役選任は社内が少ない。現場の声が入らないのではないか?」

 室町社長 「今回の取締役は、社外6人、社内4人の体制で次の経営を担う。会長の志賀を含め、社内は執行権限を持っている。このラインで現場の声を吸い上げる。今回の会計処理問題で、経営幹部から姿勢を改めないといけないと思っている。そのことを考え、すでに幹部を対象に4回、意識改革研修を行っている。幹部など170人が受けている。外部の講演など行ってもらっている。そういう取り組みを行い、現場の声を聞こうとしている。また、年1回、従業員の意識調査を行っている。8万人のアンケートを聴取している。どのように変わってきたか、モニターをしている。3月から毎月3000件をランダムに選んで調査している。昨年11月の意識調査で、さまざまなコメントを寄せられ、3万件あった。私も連休をつぶして見ている」

 株主 「不正問題はすぐに片付くと思っているうち、問題が大きくなった。良い会社だったメディカルを売ってしまった。会計問題は氷山の一角。根本的に問題があるのではないか。きちんと説明してほしい」

 室町社長 「不正会計は事業状況が芳しくない中で起きたのが1つの要因。この辺はメーンバンク、準メーンバンク含め、さまざまな意見をもらった。東芝としては、すべての課題を処理すべきだという要望がたくさんあった。構造改革を断行するにあたり、資金がいる。その資金を捻出するため、苦渋の決断をした。メディカルを売却した。長年にわたり、東芝ブランドに貢献してきた白物家電の売却が余儀なくされた」

 「東芝としては債務超過という最悪の状況だった。より多くの迷惑をかけるところだった。それは回避できた。課題事業がたくさんあった。それぞれ考えられる最大の対策を打った。今年度は正常な形にできた。株主様にはご理解してもらいたい」

(続く)