会社提案に納得できないと株主ら、修正動議も

株主総会詳報・東芝(2完)
不正会計問題で経営再建中の東芝の株主総会=22日、東京都墨田区・両国国技館(黄金崎元撮影)

 東芝の株主総会は、開始から2時間が経過しても、株主からの質問が止まなかった。東芝が成長の柱の1つに位置づけるエネルギー分野の原発事業についても不安の声が挙がった。

 株主 「原発はひとたび事故が起きた場合、収束に多大な時間とお金かかる。再生可能エネルギーの占める比率を高め、原発の比率は下げられないか」

 室町正志社長 「当社としては、再生可能エネルギーの比率は高めていきたい」

 志賀重範副社長 「普及している太陽光や風力だけでなく、水素も含めてさまざまなエネルギー技術を開発している。それぞれの国にエネルギー政策があり、具体的な目標が定められている。火力にも注力し、適合できるよう技術を高めていきたい」

 男性株主 「(米原発子会社の)ウエスチングハウスの資金調達コストが上昇している。どうやって資金を集めるのか」

 志賀副社長 「基本的には、資金は顧客が手配する。国の支援が必要な場合は、間に入って、融資の手伝いをすることもある。一部には投資する場合もあるが、慎重に判断していく」

 総会では、東芝社員のコンプライアンス意識の低下に対する不信感もあらわとなり、意外な“暴露話”も飛び出した。

 株主 「銀座ウインズに勤めているが、東芝の社員も土日に来ている。会社の不要品だとして、商品を持ち出して、働いている人に渡している。チェック機能はどうなっているのか」

 室町社長 「信頼を取り戻すべく、最善の努力をしている。会社の不要品を販売している従業員については、個別調査が必要なので、別途調査したい」

 議長役の室町社長が採決に移ろうとしたところ、次期社長に内定している綱川智副社長らを取締役に選任する会社側の人事案について、株主から修正動議が出された。

 株主「ウエスチングハウスに関わってきた志賀さんは除いてほしい。経営陣は(医療機器子会社の)東芝メディカルシステムズを売却し、人員整理をしている責任ある」

 しかし、会社側の議案はすべて可決。総会後の取締役会を経て、退任することが決まった室町社長は感慨深げな表情で「大変なご心配、ご迷惑をおかけしたことをお詫びします」と改めて不正会計について謝罪した。

 続いて、後任社長となる綱川智副社長があいさつした。「創業以来の厳しい状況の中、重責を担うこととなり、身の引き締まる思い。聞く耳を持って邁進していきたい」と決意表明。2時間58分に及び、2089人が来場した総会は幕を閉じた。

 来場した70代株主は「最後に頑張って質問した株主もいたけど、会社の対応はあんなものでしょう。株は売らないけどね」と淡々と述べ、40代株主は「新体制に期待したい」と話した。